工場のCO2からカーボンナノチューブ、究極のマテリアルが目指すもの

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ナノカーボン素材の研究開発から製造を行うカーボンフライは、二酸化炭素を回収してカーボンナノチューブ(CNT)を製造するカーボンリサイクル事業の検討を開始しました。

CNTは、炭素原子がハニカム状に平らに並んだシートを丸めて筒にしたものです。直径は細いものでおよそ1ナノメートル(100万分の1ミリ)、強度は鋼鉄の100倍ながら比重は4分の1、電気伝導性は銅の1000倍という夢の素材です。電池、配線、半導体のほか、軽くて強いことから自動車、航空機、建築の材料としても期待されています。さらに、長さ10万キロのCNTケーブルが作れたなら、地球と衛星軌道を結ぶ宇宙エレベーターが実現するとも言われています。現在、各メーカーが製品化を進めていますが、カーボンフライはCNTの量産技術を確立し、販売を行っています。

今回発表した計画は、CNTの材料となる炭素を、化学工場などから排出される二酸化炭素から抽出する技術の開発と、同時にCNTを使った製品から炭素を回収して再びCNTにするリサイクル技術を開発するというものです。総合商社兼松をハブとして、日本と海外の化学品メーカーや二酸化炭素の分離回収技術を持つ大学と連携し、オープンな枠組みで計画を進め、サプライチェーンを構築するということです。

ゆくゆくは、CNTの製造に必要な炭素、水素、窒素すべてを大気中から確保して「空気から生産するCNT」という究極のグリーンマテリアルを実現する計画です。CNTの量産とカーボンリサイクルを同時に実現させる、まさに夢のプロジェクトですね。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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