2023年「観測史上最も暑い年」になる可能性

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アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、南半球では4月は記録上最も暖かかっただけでなく、過去最も暖かい月となりました。

今年は、多くの国で最高気温の記録が更新され、気候科学者によると、2023年は観測史上最も暑い年になる可能性があります。

炭素排出量の増加と気候変動がこの予測の主な要因である他、予想されているエルニーニョ再来も理由の一つとなっています。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。

ベトナム、ポーランド、スペイン、中国、ラトビア、ミャンマー、ポルトガル、ベラルーシ、オランダ、タイ......これらの国は、今年、すでに気温が過去最高を記録した国のほんの一部です。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、南半球では4月は記録上最も暖かかっただけでなく、過去最も暖かい月となり、この月の平均気温は、20世紀の平均を0.9℃上回りました。

そして、NASA、NOAA、日本の気象庁、EUのコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、今年の3月は世界的に史上2番目に高い気温を記録した月となりました。

C3Sは、北アフリカ、ロシア南西部、アジアの大部分をカバーする広大な土地で、平均気温を大きく上回り、3月の高温新記録が多数更新されたとし、「北アメリカ北東部、アルゼンチン、近隣諸国、オーストラリアの大部分と南極大陸沿岸部でも平均を上回る気温が発生した」と述べています。
2023年3月の世界の平均気温は、1991年~2020年の気温を上回りました。 Image: コペルニクス気候変動サービス

2023年3月の世界の平均気温は、1991年~2020年の気温を上回りました。 Image: コペルニクス気候変動サービス


2023年に史上最高気温が記録される?

世界気象機関(WMO)が、今後5年の間に世界の気温が産業革命以前の水準から1.5℃以上上昇する可能性が高いと初めて発表するほど、気候変動の影響が大きく現れてきています。

エルニーニョ現象の再来が予想されることも、大きな要因の一つです。WMOは、この組み合わせにより、今後5年の間に世界の気温が史上最高を更新するとし、他のさまざまな機関の気候科学者は、早ければ今年か2024年にもこれが起こりうると述べています。

スペイン語で「小さな男の子」を意味するエルニーニョとは、海面水温の上昇によって太平洋のジェット気流が中立位置から南に移動すること。これにより、米国北部とカナダの地域が通常より暖かくなる気象現象が起こるとNOAAは述べています。

「エルニーニョ現象は、通常、地球規模の記録的な気温上昇を引き起こします。今年や来年、この現象が起こるかどうかはまだわかりませんが、その可能性は高いでしょう」と、C3Sのディレクターを務めるカルロ・ブオンテンポ氏は話します。

強力なエルニーニョ現象が発生した2016年は、世界が記録的な暑さを経験した年でした。そして、過去8年の間に、世界は最高気温を毎年記録しています。この傾向は、以下のチャートが示すように、CO2排出量の上昇と一致しているのです。
世界の記録的な猛暑は、すべてこの8年間に訪れています。 Image: Our World in Data

世界の記録的な猛暑は、すべてこの8年間に訪れています。 Image: Our World in Data


今世紀の大半で、CO2排出量は増加傾向にあります。 Image: Our World in Data

今世紀の大半で、CO2排出量は増加傾向にあります。 Image: Our World in Data


そして、今年は、エルニーニョ現象とCO2排出量の増加が重なる見込みです。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエネルギー関連CO2排出量は、昨年0.9%増の36.8ギガトン以上となり、過去最高を記録しました。米国のエネルギー関連CO2排出量は今年も増加し、中国のCO2排出量は2023年の第1四半期に過去最高を記録すると予測されています。

気象学者のスコット・サザーランド氏は、「今後発生するエルニーニョの発達の早さとその強さによっては、2023年12月末までに、過去の記録的な気温を簡単に上回るかもしれません」と予測しています。「過去、特に2015年と2016年のパターンに基づけば、来年はさらに気温が上昇する可能性が高いでしょう」
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文=Ian Shine, Senior Writer, Forum Agenda

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