健康

2023.06.08

ピル後進国の日本 9割超の女性が服用後に好変化

Getty Images

避妊だけでなく、生理痛や月経不順、PMS(月経前症候群)の改善などにも効果が認められている低容量ピル(経口避妊薬)。しかし国連が発表した「避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)」によると、日本のピル服用率は2.9%と低く、米国(13.7%)やイギリス(26.1%)、ドイツ(31.7%)などの欧米諸国と比べて、日本はピル後進国であることが分かる。では実際、日本で低容量ピルを服用している女性たちは、その効果をどのように感じているのだろうか。

サプリや美容整形、スキンケアなどの美容情報を発信するWebメディア・キラクル(https://aoyamajewel-c.com/media/)は6月2日、低用量ピルを服用したことのある女性100名を対象として、低用量ピル服用による生活の変化などを調べた結果を発表した。

まず、生理が日常生活にどのくらい支障をきたしているかを尋ねたところ、約8割の女性が何らかの「支障をきたしている」と回答。低用量ピルの服用を始めたきっかけとしては、「生理痛が酷く、生理不順だったため」「PMS緩和の目的や病院で月経困難症と診断されたため」などの声が寄せられた。

さらに、低用量ピルの服用によって生活の変化があったかを質問すると、9割超(91%)が「変化があった」と回答。効果が感じられず、生活の変化がなかったと答えた人は、1割弱にとどまった。 

続いて低用量ピルの服用で得られた具体的な効果については、最多が「生理痛の改善」で6割超。次いで「生理周期の安定」、「月経量の減少」(いずれも4割超)の順となった。

回答者からは、「PMSでは感情の乱高下や頭痛、胸の張りがありましたが、ほとんど気にならなくなりました。生理中も1日目~3日目までは鎮痛剤を規定量の3倍飲んでやっと仕事に行くほど腹痛が酷かったのですが、2回ほど鎮痛剤を飲むだけで問題無く過ごせるようになりました」「ひどい時は立っていられないくらいの生理痛がありましたが、ピルを服用してからは軽い腹痛くらいになりました」などといったコメントが集まった。

一方で、低容量ピルの副作用はあったかを聞いたところ、「あった」は4割、「なかった」は6割という結果に。具体的な副作用として最も多かったのが「吐き気・嘔吐」(約2割)で、「不正出血」(10%超)、「頭痛」(10%弱)が続いた。他にも、低用量ピルの服用を継続したいかについては、約8割が「継続したい」と回答したものの、約2割が「継続しない」と回答した。

日本産婦人科学会が監修した健康手帳「HUMAN+ 男と女のディクショナリー」の中で、聖路加国際病院 女性総合診療部の百枝幹雄医師は、ピルの⼀般的な副作⽤について「吐き気、頭痛、不正出⾎などがありますが、多くの場合これらの症状は内服しているうちに無くなります。なかなか改善しない場合には、別のピルに変更することで消えることもあります」と解説(※)。

さらに、ピルの内服により避妊だけでなく⽉経トラブルをなくすことができ、⾒違えるほど⽣活や仕事などのパフォーマンスが上がるため、ぜひ上⼿に利⽤してほしいと呼びかけている。

※ただし百枝医師は、次のようにも説明している。「重⼤な副作⽤として⾎栓症があり、ピルを服⽤することにより1年間で1万⼈に2〜4⼈の増加が報告されています。内服するメリットの⽅が⼤きいと考えられますが、ピルの使⽤にあたっては医師に説明を受けて、⼼配な症状があればすぐに医師に相談しましょう」

参考)
日本産婦人科学会 監修の健康手帳「HUMAN+ 男と女のディクショナリー」
https://www.jsog.or.jp/modules/humanplus/index.php?content_id=1

国連「避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)」
https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/files/documents/2020/Jan/un_2019_contraceptiveusebymethod_databooklet.pdf

プレスリリース

Forbes JAPAN Web編集部

ForbesBrandVoice

人気記事