サイエンス

2023.06.06 08:00

東洋のノーベル賞「ショウ賞」、2023年度受賞者7名が決定

ショウ賞設立者の故ラン・ラン・ショウ卿(1978年、Getty Images)

ショウ賞設立者の故ラン・ラン・ショウ卿(1978年、Getty Images)

国際的に権威のあるショウ賞の、2023年の受賞者7名の中には、4名の米国人学者が含まれていた。

ショウ賞は「天文学」「生命科学・医学」「数学」の3つの分野で毎年授与が行われている。受賞者には金メダル、賞状、賞金(120万ドル、約1億6800万円)が授与される。

この賞は「現在自分の分野で活躍しており、最近顕著かつ重要な進歩を達成した者、学術的・科学的研究や応用分野で卓越した貢献をした者、またはその他の領域で卓越した成果を挙げた者」に対して授与される。

今年のショウ賞の天文学部門は、以下の3人の科学者に授与された。

・オーストラリア研究会議重力波発見センターのエクセレンスのディレクターであるマシュー・ベイルズ

・ウェストバージニア大学エバリー芸術科学カレッジの物理学と天文学の教授で、研究副学部長も務めるダンカン・ロリマー

・ウェストバージニア大学で重力波と宇宙学センターのディレクターを務めるエバリー家名誉物理天文学教授のモーラ・マクラフリン

彼らは「高速電波バースト」と呼ばれる、わずか数千分の1秒の間に太陽が数日間かけて放出するのと同じエネルギーを放出する強烈な電波バーストを発見したことが評価された。このバーストの発生源は、地球よりも小さいが、遠い銀河のような遠方にあることが判明している。

生命科学・医学部門のショウ賞は、2人の研究者が受賞した。

・分子生物学部門のディレクターで、マックス・プランク多分野科学研究所所長であり、マックス・プランク協会の次期会長でもあるパトリック・クラマー(ドイツ)

・カリフォルニア大学バークレー校の分子細胞生物学部門で、生化学、生物物理学、構造生物学の名誉教授であるエヴァ・ノガレス

彼らは構造生物学の先駆者として認識され、生命の基本的なプロセスの1つである遺伝子転写を担当するタンパク質マシンを個々の原子レベルで視覚化することを可能にした。

賞の発表によると、ノガレスとクラマーは、遺伝子転写の各ステップで基礎となるメカニズム、適切な遺伝子転写が健康を促進する方法、そして調節異常が疾患を引き起こす方法を明らかにした。ノガレスは、高分子複合体の研究に電子顕微鏡を使用する先駆者としても評価されている。

数学部門のショウ賞は、以下の2人に授与された。

・シカゴ大学の数学のハリー・プラット・ジャドソン名誉教授であるウラジミール・ドリンフェルド

・清華大学の主席教授で、これまでプリンストン大学、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校、スタンフォード大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、ハーバード大学など数々の米国の大学に在籍してきたシン=トゥン・ヤウ(丘 成桐)

彼らは、数理物理学、算術幾何学、微分幾何学、カーラー幾何学への貢献により表彰された。

ショウ賞は、エンターテインメント界の巨匠であり慈善家でもあった故ラン・ラン・ショウ卿によって2002年11月に設立され、香港に拠点を置くショウ賞財団によって管理・運営されている。同賞は今年で20回目を迎え、11月12日に香港で受賞者7名への贈呈式が予定されている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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