刊行日は9月12日の予定なのだが、業界の慣例に従って、この5月から見本本を書評家や新聞、ジャーナリズムに献本し、書評を得るべくマーケティング中であった。
著者は30代そこそこのサラ・ストゥセクという女性。コースタル・カロライナ大学でコミュニケーションとジャーナリズムを専門とする芸術学士号 (BA)を取得してから、広告や映画、テレビなどで仕事をしてきた経験豊富なプロデューサーだ。
有名なところでは、7シーズンのロングランとなった政治風刺のテレビドラマ「ヴィープ」や、ケビン・スペイシー最後のドラマとなったネットフリックスの配信ドラマ「ハウス・オブ・カード」などでロケ―ションマネージャーをやったり、また自ら監督として短編映画も撮っていたりする、いわゆる「業界の人」だ。子役としての演技歴もある。
現在は5年前から独立し、「ストゥーセク・スタジオ」とうい会社を立ち上げて創業社長を務める。映像に造詣が深いだけあり、自らTikTokを連日アップロードし、10万人のフォロワーもいる。
その彼女が初めての少年少女小説「スリー・リバーズ」を執筆し、前述のように書評家などに見本本が配布されているのだ。
著者が書評家に「ビッチ」と言い放つ
「スリー・リバーズ」の物語は、次のようなものだ。見知らぬ2人の男が、真夜中に少女のステラを寝室から連れ出し、問題を抱えた10代の若者たちのための自然療法プログラムである「スリー・リバーズ」に連れて行く。プログラムの参加には、ステラは極力抵抗する。彼女は「危険にさらされている若者」ではなく、他の子供たちのように重犯罪者でも麻薬中毒者でも放火犯でもないからだ。
しかし、ゆっくりと彼女は心を開き、友だちをつくり、なぜ自分がここに送られたのかという謎に立ち向かい始める。このプログラムのキャンプに強制的に連れて行かれたステラは、この予期せぬ出来事の背後に誰がいるのか、次第に気づいていくのだった。
実は、著者のサラ・ストゥセク自身も 10 代で両親に自然療法キャンプに送られており、実体験にインスピレーションを得ていることを自身のTikTokでも話していて、そのため物語にも臨場感があることが伝わってくる。