ブライトモーメンツ向けのストリートフォトグラフィーを作り始めたときは、ただ、お気に入りのものを思いつくままにAIにプロンプト入力していました。私が興味あったファッションや、インターネット以前の独自の文化、昔バービー人形向けに作っていたモンドリアンのドレスを思い出したり、大好きだったロンドンのツイッギーのイメージを入れたり。同時に、日本のパワーレンジャーや特撮、独特な原宿ファッション文化も好きなのでそのような自分の好きを集めていったらブライトモーメントで即日完売となったAIフォトグラフィーコレクション『Neural Fad』が出来上がったのです。
クレア:AIは私にとって子供時代を追体験するようなものです。小さい頃から遊んでいたような楽しさがAIアート制作時には感じられます。
作品を循環させる、顧客とのアイディエーション
クレア・シルバー氏は、新人アーティストの支援にも力を注いでいる。2021年、ベン・ロイ氏と組んで、Accelerate Art(A2)という、Web3空間における新人アーティストの支援を目的とした慈善団体501(c)3非営利団体を設立した。コミュニティーの構築、教育プログラム、助成金、世界各地での展示会を通じて、新人アーティストが直面する多くの課題を克服していけるものだ。また、クレア・シルバーは3カ月ごとにAIアートコンテスト(賞金6〜7ETH(約150〜175万円))を開催している。貧しい環境で育ちアートのクラスを受講する機会がなかったという彼女が、独学で学び、そしてAIとともに作品を作ることにより世界で注目されるアーティストになった。
このアートが彼女の人生をポジティブに変えたように、他のアーティストのためにも提供したいと考えているからだ。この取組自体も素晴らしいが、実は彼女の作品自身がコレクターの人生にポジティブな影響を与えているストーリもある。
クレア:私の作品を購入した方からいただいたコメントで、皆様に共有したいのは2つです。一つは、私のコレクションの1つを0.1ETHで購入したコレクターがいます。大体約100ドルで購入されたと思います。彼は約1週間待ってから、それを3〜4ETHで売りました。そのお金で、婚約者のための結婚指輪を買ったと報告を受けました。私の作品が売れたことで、彼らの人生の特別な出来事に関わることができたと聞いて、とても感慨深かったです。
そして、もう1つは、サザビーズの現代美術オークションでの出来事です。そこでのコレクターはイギリス王室の方たちでした。私のプリンセス(王女)をテーマにした作品を気に入ってくれて物理的なプリントを手に入れたとき、彼はそれを娘の部屋に飾ったそうです。本物のプリンセスがプリンセステーマの作品を気に入ってくれたことが、私にとっては本当に嬉しい特別な体験となりました。