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2023.06.05

運用資産49兆円のオルタナ投資会社「アレス・マネジメント」の実力

Photo Illustration by Pavlo Gonchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

少年時代にニューヨーク・ヤンキーズのファンだったマイケル・アロゲッティ(50)は、週末に開催されるコレクターズショーに出店し、ベースボールカードの取引ビジネスを開始した。当時13歳だった彼は、希少価値が高い著名選手のカードを追い求めるよりも、数百枚のカードをめくって小さな利益を積み重ねるほうが良い戦略であることに気づいた。

アロゲッティは現在、オルタナティブ資産運用会社のアレス・マネジメントのCEOを務めている。同社は、ウォール街で最も成功した企業の1つに数えられるが、同業者とは異なり、着実に利益を積み上げていく姿勢で知られている。

ロサンゼルスに本社を置くアレスの運用資産は、過去5年間で3倍以上に伸びて3520億ドル(約49兆円)に達しており、そのうち2140億ドルを、世界中の信用リスクが高い非上場企業に対して直接融資を行う「プライベートクレジット・ファンド」に用いている。KKRのような会社は、巨大なリターンを狙う大胆な株式投資で知られるが、アレスのアップサイドの大半は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)などのベンチマークに固定された利息に限られている。同社の顧客の大半を占める、年金基金や保険会社など、約2000社の機関投資家にとってはそれで十分なのだ。

「人々は耐久性のある利回りに引き寄せられる。私たちは、複合利回りの価値を早くから説いてきた」とアロゲッティはいう。

アレスは、フォーブスが2月に発表した第1回の「金融オールスターズ(Financial All-Stars)」リストの注目企業だ。KBWのアナリストが銀行、保険、資本市場、消費者金融、住宅ローン、フィンテック、事業開発の7分野から50社を選出したこのリストに掲載された企業は、過去5年間のリターンが高く、負債比率や収益成長率などの指標で際立っている。アレスの2022年9月までの5年間の累積総リターンは316%で、このリスト中の1位だった。

他の成功した資産運用会社と同様に、アレスは複数のビリオネアを生み出した。アロゲッティと共同創業者のベネット・ローゼンタール、デビッド・カプランの保有資産は、すべて10億ドルを超えている。アレスの執行会長で、NBAのアトランタ・ホークスの過半数オーナーであるアントニー・レスラーの保有資産は66億ドルと推定される。
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編集=上田裕資

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