2023年を振り返ると、2月以降に電気代の上昇を理由とした値上げの割合が高まり、4月には約1割を占めるまでに。7月には値上げを予定している約3400品目のうち、2割超(22.3%、777品目)で電気代の上昇を主な理由としている。
食品分野別では、電気代を値上げ要因とした割合が最も高いのは「パン」で44.9%、718品目に上る。パンは焼き上げや温度管理など、製造工程で大量の電力を消費する。輸入小麦粉やバターなどの原材料価格が大幅に引き上げられるなか、電気代の上昇分を吸収できる余力に乏しいことが背景にあると考えられる。
さらに「加工食品」(8.9%)と「乳製品」(8.4%)が続き、「加工食品」ではハム・ソーセージ製品や豆腐製品など幅広い分野に影響が拡大。電気代を要因とした値上げ品目数は、全分野で最多の911に及んだ。一方の「乳製品」では、パック牛乳やチーズなどの加工品製造過程のほか、原料乳を生産する酪農家でも電気代が膨らみ、値上げは88品目となった。
帝国データバンクは、原材料価格の落ち着きや低下により、原材料高を中心とした値上げ圧力は徐々に低下しつつあるものの、人件費の増加や電気代などのエネルギー価格の上昇が、新たな値上げ要因として表面化していると説明。今夏以降の電気料金引き上げによる影響次第では、さらに広い食品分野に電気代上昇分の価格転嫁が浸透し、再度の値上げラッシュの引き金となる可能性があると指摘した。
プレスリリース