経済

2023.06.04

豪テック界の富豪、「世界最大の太陽光発電計画」を買収へ

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オーストラリアの法人向けソフトウェア企業、アトラシアンの共同創業者で共同CEOのマイク・キャノン・ブルックスの投資会社が「世界最大の太陽光発電プロジェクト」と呼ばれたサンケーブルの資産を買収することで合意した。このプロジェクトは、将来の方向性と資金調達について株主の意見が別れた結果、今年1月に頓挫していた
 
サンケーブルを管理するFTIコンサルティングは5月26日の声明で、この取引が7月末までに完了すると発表したが、財務的な詳細は明かしていない。FTI は、キャノン・ブルックスの投資会社のヘリエッタ・ホールディングスと、数カ月前から交渉を重ねてきたという。
 
300億豪ドル(約2兆7000億円)を投じる予定だったこのプロジェクトは、オーストラリアからシンガポールに、4200キロの海底ケーブルを通じて太陽光発電による電力を輸出する計画だったが、1月にサンケーブルが任意整理を行ったため、中断している。同社にはキャノン・ブルックスと鉱山王のアンドリュー・フォレストが出資していたが、主要株主の間で今後の方向性について意見の対立が生じていた。
 
FTIによると、この取引が完了すれば、キャノン・ブルックスはまずダーウィンに900メガワット、シンガポールに1.8ギガワットの電力を供給する計画を進める予定という。サン・ケーブルは昨年10月に、シンガポールの潜在的な顧客からコミットメントを得たと発表していた。
 
現在43歳のキャノン・ブルックスは、再生可能エネルギーへの投資を強化するとともに、気候変動と闘う企業への出資も行っている。2022年5月に、彼のGrok Venturesはオーストラリアで最大規模の電力生産・販売会社のAGLエナジーに5億豪ドル以上を出資し、筆頭株主となっていた。
 
フォーブスの試算で保有資産が109億ドルの彼は、AGLの化石燃料からの脱却とクリーンエネルギーへの移行を加速させるつもりだと述べている。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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