「感情のコントロール」が上手な人がしている3つのこと

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誰に言われたかも覚えていないが、昔、「本を読むとよい、50歳の人の書いた本を読めば、たとえ君が20歳だとしても、50年分の経験値の一部に触れることができるのだから」と言われたことがある。仕事がうまくいかずネガティブな感情が湧き出てきそうなとき、この言葉を思い出す。

リーダーにとって大切なことの一つに、感情のコントロールがある。日々、いいこともあれば、思いもよらぬこともある。感情がほとばしるほど悔しいことも、泣きたくなることもあるだろう。ただリーダーはその一時の感情に振り回されて、正しい意思決定ができなくなったり、衝動的に行動してしまうという事態に陥ってはいけない。

感情を持つこと自体をとめることはできないし、とめる必要はない。感情を受け止め、素直に喜びや悲しみを感じるのは大事なことだ。ただ、リーダーは感情的にならず、その先の意思決定や行動をしなければならない。

先日、ある人事の人と話していた時に、「最近、何が起こっても感情のコントロールができるようになってきた」という話を聞いた。人事とは、日々社員やリーダー、経営陣から相談を受けたり、悩みを聞いたり、多くの感情を受け止める仕事だ。

私自身もヘッドハンターとして、人事として、数万の人の感情に向き合ってきた。その感情の元となるバックグラウンドも多種多様だった。シンガポールで世界中の人達と働いていたときは、人種、宗教、生まれ育った環境によって、抱く感情が異なることも知った。

感情のコントロールに特効薬はない。それはただただ、さまざまな感情に向き合い、一つ一つの感情がなぜ起こっているのかを知り、その経験を積み重ねて、自分の中の“感情コントローラー”の性能を上げていくしかない。リーダーとしてその性能を高めるヒントを3つ紹介しよう。

1. 普段関わらない人と話す

リーダーのキャパシティの一部は、どれだけ異なる人たちと一緒に働けるかによって定義される。営業のリーダーが全く思考回路の違うエンジニアやデザイナーと一緒に働くとなれば大変な苦労を伴う。ファイナンスのリーダーは、マーケティングの人の言っていることがなかなかわからないこともあるだろう。

思考回路が違えば、感情のあり方も、受け取り方も、その後の行動もすべて異なってくる。世代や国籍の違いによって、同じ仕事でも感じ方が違うかもしれない。自分とは異なる感情コントローラーを持っている人に出会い、その機能を観察すると、自分のキャパシティも広がっていく。
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文=西野雄介

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