とかく「ものおじせず、絶妙のタイミングで鮮やかに発言する人」「大勢の前でときに笑いを取りながらとうとうと持論を披瀝できる人」が魅力的な人物とされリーダーシップを取っていく社会のなか、チャン氏は、実は内向型にしか牛耳れない領域があること、気配りや慎重さこそが武器になり得ることなどを伝え、大きな共感の嵐を巻き起こしたのだ。
実は、チャン氏とForbes JAPAN編集長藤吉雅春はここ半年間以上、TwitterのDMで親しくやりとりしてきた。チャン氏はそのやりとりを元に、藤吉の少年時代から記者時代のこと、現職に至るまでのストーリーを台湾の新聞に寄稿しているし、逆にForbes JAPAN本誌3月号「私を覚醒させる言葉」にチャン氏は出演した。
来日したチャン氏に、本書の版元・ダイヤモンド社のオフィスで藤吉編集長がインタビュー。台湾に形成されたファンコミュニティーのこと、内向型の「領分」について、読者とのカレンシー(通貨)のやりとりについて聞き、さらには2人の「友情」の発端について語り合った。
藤吉雅春(以降「藤吉」):あなたの著書は、全米200万部超の著者、スーザン・ケインが「現代の静かな闘士たちの必読書」と絶賛しました。実際に台湾では、この本の読者である「静かな闘士たち」によってファンコミュニティーが形成されましたよね。コミュニティーにはどんなふうに貢献されていますか、また、あなたのファンダムはコミュニティーにどう参加しているのでしょう。
ジル・チャン(以降「チャン」):私のファンコミュニティーというか、たしかに内向的な人たちのコミュニティーはできていて、そこに行けばお互いをサポートし合えるという感じです。月に3万人ほどが参加しています。
私がそこで果たす役割は、このプラットフォームが、すべての内向的な人たちにとって安全でフレンドリーであることを確認することだけです。あくまでもメンバー同士に経験を交換してもらい、互いにサポートし合ってもらいたいのです。そして実際に、メンバー同士の相互作用から大きなパワーが生まれています。
より年長のメンバーが経験したことを若いメンバーが今後経験することもありますから、お互いに支え合い、人生経験を共有する場にもなっていますね。
藤吉:あなたとTwitterのDMでやりとりをしていて、「静かな人」の概念を根本から変えなきゃいけないなと思いました。内向型の人たちは実はすごいパワーを持っているのではないかと。
チャン:ありがとうございます。本当にそうだと思います。
藤吉:静かな人たちはいつも、集まってパワーを発揮しますか? 個人でもパワーを発揮することがありますか?
チャン:そうですね、内向型は、「それぞれが一緒に力を尽くす(They can work indivisually together.)」、としかいえません(笑)。内向型はコミュニティをとても大切にする傾向があります。ですから、それぞれがそれぞれの置かれた場で、「他人をとても気にしながら」力を尽くせば大義を果たすことができる、個々の行動が集まれば、大きな変化を起こすことができる、そう思います。