宇宙

2023.06.04 15:00

土星の衛星エンケラドゥスに9600kmの巨大水柱、ウェッブ望遠鏡が発見

土星の衛星エンケラドゥスから噴出する水柱が9600km以上広がっているところをNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が観測。画像は想像図(Getty Images)

「データを見ていたとき、自分は間違っているに違いないと思いました。衛星の20倍以上のサイズの水柱を見つけたことはあまりにも衝撃的でした」と、主著者でメリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターのジェロニモ・ヴィラヌエヴァはいう。「水柱は南極の噴出地域からはるか彼方まで広がっています」
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噴出する水のスペクトル(NASA, ESA, CSA, STScI, L. Hustak (STScI), G. Villanueva (NASA’s Goddard Space Flight Center))噴出する水のスペクトル(NASA, ESA, CSA, STScI, L. Hustak (STScI), G. Villanueva (NASA’s Goddard Space Flight Center))

そこかしこにある水

ウェッブ望遠鏡の測定装置、NIRSpec(近赤外線スペクトログラフ)に搭載されている面分光ユニットのデータは、水蒸気が毎秒300リットル噴出していることを示唆している。

「エンケラドゥスは土星を比較的速く、わずか33時間で周回しています。土星を回る際、衛星とその噴流は基本的に水を吐き出していて、まるでドーナツのようなハローを残します」とヴィラヌエヴァは語った。「ウェッブの観測によると、巨大な水柱があっただけでなく、水はそれこそどこにでもありました」

その2022年11月9日の発見は、JWSTのGuaranteed Time Observation(GTO、時間保証観測)プログラム1250の一環として実施され、Nature Astronomyに掲載された。

氷の輪

さらにウェッブは、エンケラドゥスからの噴流が、氷と岩からなる土星の輪に供給されている様子を、初めて科学者たちに紹介した。観測によると、水分の約30%は土星のEリングに、70%はそれ以外の土星系に供給されているようだ。
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NASAには、これらの巨大噴流にもっと近づくチャンスがあるかもしれない。2038年10月(予備日程は2039年11月)に打ち上げ、2050年に到達すると言われているEnceladus Orbilanderミッションでは、水柱のサンプルを採取することに特化して、探査機にエンケラドゥスを1日2回、200日にわたって周回させる予定だ。

その後探査機は衛星に着陸して数年間滞在し、衛星の地表に戻ってきた水柱物質のサンプルを採取する。それは、エンケラドゥスをあれほど明るく反射させているものの正体だ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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