噴出する水のスペクトル(NASA, ESA, CSA, STScI, L. Hustak (STScI), G. Villanueva (NASA’s Goddard Space Flight Center))
そこかしこにある水
ウェッブ望遠鏡の測定装置、NIRSpec(近赤外線スペクトログラフ)に搭載されている面分光ユニットのデータは、水蒸気が毎秒300リットル噴出していることを示唆している。「エンケラドゥスは土星を比較的速く、わずか33時間で周回しています。土星を回る際、衛星とその噴流は基本的に水を吐き出していて、まるでドーナツのようなハローを残します」とヴィラヌエヴァは語った。「ウェッブの観測によると、巨大な水柱があっただけでなく、水はそれこそどこにでもありました」
その2022年11月9日の発見は、JWSTのGuaranteed Time Observation(GTO、時間保証観測)プログラム1250の一環として実施され、Nature Astronomyに掲載された。
氷の輪
さらにウェッブは、エンケラドゥスからの噴流が、氷と岩からなる土星の輪に供給されている様子を、初めて科学者たちに紹介した。観測によると、水分の約30%は土星のEリングに、70%はそれ以外の土星系に供給されているようだ。NASAには、これらの巨大噴流にもっと近づくチャンスがあるかもしれない。2038年10月(予備日程は2039年11月)に打ち上げ、2050年に到達すると言われているEnceladus Orbilanderミッションでは、水柱のサンプルを採取することに特化して、探査機にエンケラドゥスを1日2回、200日にわたって周回させる予定だ。
その後探査機は衛星に着陸して数年間滞在し、衛星の地表に戻ってきた水柱物質のサンプルを採取する。それは、エンケラドゥスをあれほど明るく反射させているものの正体だ。
(forbes.com 原文)