このアップデートによって、企業のマルチクラウドのワークロード管理の課題とネットワーク接続や設定の複雑さに対処する方法が、変革できると見込まれている。
Cross-Cloud Interconnectは、マルチクラウドネットワーキングに関する設定の簡素化、ハードウェア要件の最小化、そしてオーバーヘッドの削減を目指している。またこのサービスは、AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、アリババクラウドをサポートし、さらに多くのプロバイダが追加される予定だ。
アプリケーションのマルチクラウド分散は、人工知能(AI)や機械学習(ML)のワークロードの隆盛に後押しされている。Google Cloudは、新しい仮想マシンやAIプラットフォームを含むAIとMLのサービスを提供することで名を売ってきた。Cross-Cloud Interconnectにより、これらのサービスは他のクラウドプロバイダにも拡大され、Cloud Spanner、Cloud Storage Buckets、BigQuerなどのGoogle Cloud Platformのネイティブサービスを活用しながら、多種多様なアプリケーションをパブリッククラウド上で動作させることが可能となる。
たとえば顧客は、グーグルが提供するVertex AI上に配置されたファインチューニング済の生成AIモデルにアクセスするために、プライベートエンドポイントを構成して、AWSやAzureに配置されたウェブアプリケーションから安全にアクセスすることができる。
Cross-Cloud Interconnectを利用開始するには、リージョン/ゾーンの選択、物理ポートの注文、帯域幅ティアの選択、両クラウド環境でのサービスの設定といった一連の手続きが必要だ。このプロセスを自動化するために、グーグルは認可書(LOA、Letter of Authorization)も必要とする。これにより、目的のクラウド内の各ポートに対してリンク集約グループ(LAG)を設定することが許可される(リンク集約グループとは、ネットワークの信頼性や帯域幅を向上させるために複数のネットワーク接続を1つにまとめる技術のこと)。
Cross-Cloud Interconnectは、複数のクラウドを接続する手段だけでなく、スピードと信頼性も重視している。このサービスでは、10ギガビット/秒と100ギガビット/秒の2段階の帯域幅を提供している。また、99.9%のSLA(サービスレベル契約)も併せて提供し、エンタープライズ顧客がマルチクラウドワークロードを安心して展開できるようにする。