しかしながら、7482(1994 PC1)と呼ばれている小惑星については知っておくべきだ。この小惑星は、今後1000年の間で軌道が地球の軌道と交わることがわかっている唯一の小惑星だ。そのため具体的には502年以内に地球と「最接近」する可能性が最も高い、おそらく。
プレプレントアーカイブで公開され、The Astronomical Journalに掲載が承認されているその論文では、天文学者らはキロメートル級の小惑星をほぼすべて発見したという。その数は1000個弱だとのことだ。
それは好都合だ。なぜなら、そのように大きい小惑星が「惑星キラー」と呼ばれるのには理由があるからだ。メキシコ湾の巨大なチクシュルーブ・クレーターは、6600万年前に地球に衝突し、恐竜を全滅させた直径10kmの小惑星によるものだと考えられている。
1998年、米国議会はNASA(航空宇宙局)に対し、地球近傍天体(NEO)の90%を検知して登録するよう指示した。同局は期待に応え、現在米国には、パンスターズ、カタリナ・スカイサーベイおよびNEOWISEといったNEOの発見に特化した観測施設がある。地球軌道の近くを通る、あるいはどこかの時点で軌道を横切るような「惑星キラー」小惑星すべての軌道は地図上にプロットされている。
データを解析した結果、地球は今後100年間、間違いなく安全だろうと論文は述べている。
しかしそれ以降、何が起きるかは謎だ。長いタイムスケールの間に軌道は変化する可能性があるからだ。さらには、有名な小惑星であるアポフィスをはじめとするアテン型小惑星のように、常にまぶしい太陽光にまぎれているため発見が困難なものもあるほか、小惑星にはヤルコフスキー効果と呼ばれる熱の影響によって、時間とともに軌道をわずかに変える可能性がある。