北米

2023.06.01

ビットコインのマイニングを停止に追い込む米民主党の試み

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ペンシルベニア州は、かつてはビットコインのマイニング(採掘)が盛んな土地として知られたが、その状況が一変しようとしている。

原子力や天然ガス、廃棄石炭などの多様なエネルギーの選択肢があるペンシルバニア州には、データセンターへの税優遇措置もあり、マイニング事業者にとって理想的な土地だった。しかし、今年に入り民主党が州議会の下院を掌握したことで、これまで暗号資産業界に友好的だった環境資源・エネルギー委員会のトップが交代した。前委員長の共和党のダリル・メトカーフ議員は、気候変動の否定派として、長年非難されてきた人物だった。

新たに委員長に就任した民主党のグレッグ・ビタリ議員は、暗号資産業界にブレーキをかけるための、2つの新たな法案を提出した。

その1つが5月17日に発表された法案で、データストレージ企業に対する税優遇措置から、マイニング事業者を除外することを目的としている。また、2つ目の法案は、マイニング事業の拡大を抑制することを目的とした、より広範なもので、この法案が成立すれば、ビットコインのようなプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型のマイニング施設の新規の稼働を停止させることができる。

この法案はさらに、マイニング事業者に対し、エネルギー使用についての詳細なデータを州の環境保護局に提出することを義務付けている。同局は、暗号資産業界に対するさらなる規制が必要かどうかを検討するという。

マイニング事業者は、この新たな法案についてまだ積極的に発言していない。ペンシルベニア州の原子力発電の電力でビットコインの採掘を行なうテラウルフ(TeraWulf)の最高戦略責任者であるケリー・ラングレイスは「正式に提出されていない法案についてはコメントできない」とEメールで述べた。

しかし、彼女は「マイニングは電力網と共生関係を保つことができる」と述べ「マイニングは、再生可能な資源から生まれた電力の余剰分を、保存期間が無限の資産であるビットコインに変換できる」と主張している。

廃棄石炭から生まれる電力

別のマイニング企業の「ストロングホールド・デジタル・マイニング」社は、州の補助金を利用して、廃棄石炭から生まれる電力を活用するという、異なるアプローチをとっている。同社は、廃棄石炭を燃料とするビットコインのマイニング施設を2つ所有している。

石炭の採掘プロセスで生じる廃棄石炭はこれまで放置され、土壌汚染を引き起こしてきたが、ストロングホールドのグレゴリー・ビアードCEOは先日、ビタリ議員が率いる委員会で証言し、自分の会社は廃棄石炭に含まれる有害物質を除去しており、社会に役立つことをしていると主張した。「当社は、廃棄石炭を燃やして、ほとんどすべての有害物質を取り除いている」と彼は述べた。

しかし、同委員会の公聴会で、PennFutureのエネルギー・気候担当シニアディレクターであるロブ・アルテンバーグは、廃棄石炭を燃やすことは、大気汚染という別の形態に汚染をシフトさせているに過ぎないと反論した。

「マイニング事業者は、彼らがクリーンなエネルギーの余剰分を買い取ることで、クリーンな発電を促進していると主張している。しかし、ペンシルベニア州の事業者は、実際のところ化石燃料を燃やしてマイニングを行っている。さらにいうと、そもそも無駄にしていいクリーンエネルギーなど存在しない」と、アルデンバーグは述べた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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