例えば、Twitter(ツイッター)の音声プラットフォームであるTwitterスペースは、NFTに参入したい企業にとって、個人と繋がる魅力的なコミュニティとなっている。
コミュニティこそがNFTの本質なのだ。この分野のアーリーアダプターは独自のカルチャーを作り出し、成長させている。企業の幹部クラスがNFTを完全に理解することは難しいかもしれないが、このムーブメントがミレニアル世代とZ世代の約5分の1にアピールする、急速に変化するコンセプトの一部であるという事実を無視することはできないはずだ。NFTが、将来のプロダクトの買い手となる彼らとのつながりを強化する可能性を無視したくはないだろう。
ここでは、企業やブランドがNFTに参入する場合に意識すべきポイントを解説する。
1. NFTプロジェクトのための予算を用意する
単にデジタル画像を作成すればNFTをリリースできるというのは誤りで、そこには時間と労力が必要だ。InList.comのCEOであるギデオン・キンブレルは、NFTそのものの作成は100ドル程度で可能だが、プロジェクトを成功させるためにはもっと予算が必要になると述べている。「例えば、顧客層が昔ながらの美術品や収集品を愛する人々である場合、NFTに興味を持つ若い層にアプローチするためには、専門家の助けが必要になる」と彼は説明する。このような場合、適切なブランド構築やストーリーテリング、クリエイティブディレクションの支援を受けるだけで、3万ドル(約420万円)かそれ以上の予算が必要になる。
どれくらい予算が必要になるかを把握するための方法の一つは、他社が支払っている金額を調べることだ。少し時間をかけて調べてみれば、より現実的なコスト分析ができるようになるはずだ。
2. NFTをブランドの美学に組み込む
企業がNFTをリリースする場合に重要なのは、自社ブランドとコンテンツの関連性だ。企業がリリースする優れたNFTは、ブランドとコミュニティとの結びつきがあるものだ。その一例に挙げられるのが、米TIME誌の「TIMEPieces NFT」と呼ばれるコレクションだ。彼らはツイッターやDiscord(ディスコード)のイベント中に特別なパスワードを発表し、デジタルウォレットを持つ参加者は、一定時間内にこのパスワードを入力することで、TIME誌から限定版NFTを受け取ることができる。TIME誌は、このプロジェクトにウォーレン・バフェットの孫のニコール・バフェットや著名写真家のジャスティン・アベルサーノなどのアーティストを起用して、ブランドとのつながりに新たな興奮を与えている。
ニューヨーク大学のアルン・スンダラジャン教授は、Nivea(ニベア)やBudweiser(バドワイザー)もNFTを巧みに使ってターゲット顧客を魅了することに成功したと指摘している。ビジネスリーダーが意識すべきなのは、NFTが自社ブランドの価値観の文脈で意味を持つものにすることだ。