昨年、中国のCDCの責任者を辞任したウイルス学者のジョージ・ガオ(高福)は、BBCラジオ4の番組で「いかなる可能性も排除すべきではない」と述べ「それが科学だ」と付け加えた。
ガオはまた、中国政府が「何らかの組織」で武漢のウイルス研究所を調査したことを明かした。この研究所は、新型コロナウイルスがラボから漏洩したという説の支持者たちが、その発端だと主張している場所だ。
ガオはさらに、武漢のラボが専門家によって「ダブルチェック」され「問題はなかったと報告されたと聞いている」と付け加えた。
一部の米連邦機関や共和党の幹部を含む議員が、ラボからの流出説を支持しているにも関わらず、大多数の科学者は、ウイルスがコウモリから発生し、中間種を介してヒトに感染したという説を支持している。
3月には、国際的な科学者チームが、武漢の海鮮市場で売られていたタヌキがウイルスの起源であることを示す遺伝子データを発見したと発表した。この発見は、パンデミックの初期に武漢の市場周辺で採取された検体に基づいている。このデータから、市場で販売されているタヌキが、2019年末の時点で、ウイルスに感染していた可能性があることが判明したと彼らは主張した。
このことは、タヌキからヒトへの感染が始まったことを証明するものではないが、海鮮市場の動物がウイルスと関連があることを示す、最も強力な証拠と言える。
米国エネルギー省は2月に「確信度は低い」としつつも、ウイルスが中国の研究所での不慮の事故によって広まったと判断したと発表した。同省は、連邦捜査局(FBI)と並んで、ラボからの流出説を支持する連邦機関のうちの1つだ。バイデン政権がパンデミックの起源を調査するよう命じた他の機関のうち、国立アレルギー・感染症研究所、米疾病管理予防センター(CDC)、国家情報会議(NIC)、さらの別の4つの匿名の情報機関は、ウイルスの自然起源説を支持している。
一方、米中央情報局(CIA)ともう1つの連邦機関は、まだ結論を出せていないと報じられている。中国の政府関係者は、ラボからの流出説が、パンデミックの起源を政治的に利用しようとする米国の陰謀であると述べ、強く反論している。中国政府はその代わりに、ウイルスが中国の国外で発生し、冷凍食品を通じて中国国内に持ち込まれたという独自の主張を広めようとしている。
(forbes.com 原文)