TikTokは、同アプリから収入を得るクリエイターに対する支払いの管理に際し、親会社の中国企業バイトダンス(字節跳動)のさまざまな内部ツールやデータベースを利用している。同じツールは、TikTokと提携する外部業者や中小企業への支払いにも使われている。
だが、TikTok運営会社内の複数の情報源からフォーブスが入手した社内通信や音声の記録、動画、スクリーンショット、「機密」と記された文書、そして関係者の話からは、人気クリエイターや第三者組織の個人情報や財務情報が、中国国内で保管されていることが判明。さらに、許可を与えられていない従業員もこうしたデータにアクセスできていた可能性も浮上した。
TikTokの米運営会社を率いる周受資・最高経営責任者(CEO)は3月、米議会の公聴会で、米国のユーザーのデータは中国外のサーバーに保管されており、各国の従業員によるアクセスは「必要に応じて」許可されていると説明していた。
TikTokの広報担当者は「当社は、周の証言の正確性に引き続き自信を持っている」と言明。フォーブスはバイトダンスに詳細なコメントを求めたが、返答はなかった。米国民の税務情報が中国に保管され、従業員によるアクセスが可能だったのかという質問に対し、同社とTikTokの米運営会社はいずれも、本記事の公開時点で返答していない。
米国では、盗んだSSNを使ったなりすまし詐欺が珍しくない。また中国政府は過去に、米国人の個人財務情報を盗んだ疑いがかけられている。
米中央情報局(CIA)元職員で、ホワイトハウスの法務顧問も務めたブライアン・カニングハムはフォーブスの取材に対し、TikTokによるこうしたデータの取り扱いは「非常に懸念すべきIT業務過誤」だと指摘。ずさんな管理が原因だったのか、運営上の正当な必要性があったのかは分からないものの、いずれにせよ中国国内に情報を保管する場合には「中国の情報機関が入手可能な状態になると思った方がよい」と述べている。
(forbes.com 原文)