医療用大麻が合法化されている州では、同期間の陽性結果が前年比8.3%増(3.6%から3.9%に増加)となり、娯楽用大麻が合法化されている州では、前年比11.8%増(5.1%から5.7%に増加)となった。
しかし、陽性反応が出た労働者が、業務中にハイになっていたとは限らない。大麻に含まれる精神作用を引き起こすテトラヒドロカンナビノール(THC)は親油性で体脂肪に蓄積されるため、使用してから数週間後に陽性反応が出る場合もある。このため、尿検査の時点でハイであるかどうかを確認することはできない。
マサチューセッツ総合病院の医師で、ハーバード大学医学大学院で講師を務めるピーター・グリンスプーン博士は「このデータは大麻ユーザーが増加したことを示しているのであって、彼らが勤務中に使っていることを意味しない」と述べている。
「ここで目を向けるべきは、過去1世紀近くの間、アルコールしか合法的な選択肢がなかったことだ。アルコールに代わる合法的な選択肢ができたことで、人々は大麻に目を向けるようになった。安全に使っている限り、何も問題はない」と博士は話した。
現在、米国では22の州とワシントンD.C.で21歳以上の成人の嗜好用の大麻の使用が認められており、38の州で医療用大麻が合法化されている。
グリンスプーン博士は、過去25年以上に渡って医療用大麻を研究しており、『Seeing Through the Smoke』という著書を最近出版した。
一方、職場での大麻陽性率の上昇で懸念されるのは、従業員が飲酒したときのように酩酊状態になることだ。クエスト社によると、2022年の職場での事故後に行われた尿検査における陽性率は7.3%で、2021年に比べて9%増加した。2012年にコロラド州とワシントン州が娯楽用大麻を初めて合法化して以降に、この数値は204%も上昇している。