アジア

2023.05.30 15:30

中国EVメーカー創業者の資産が80%減、長引く価格戦争で

シャオペンの前に創業したベンチャー企業UCWebが2014年にeコマース大企業アリババに買収され、その年にシャオペンを共同で設立したヒーは事業を好転させられると確信している。このほど第1四半期決算を発表した際、ヒーは戦略、組織構造、経営陣を刷新したいま「社を好循環に導くことに揺るぎない自信を持っている」と語った

ヒーは1月に製品開発と販売を強化すべくGreat Wall Motor(グレートウォール・モーター)の元幹部、ワン・フェンインを新社長としてシャオペンに迎え入れた。同社はG6モデルを6月に発表する見込みで、同社の力が試される。

SUVのG6は同社がSepa 2.0と呼ぶ新しい設計・製造アーキテクチャを採用し、自社開発の操作システムと自動運転システムを搭載する予定だ。ヒーは第1四半期の決算発表で「価格帯を20万〜30万元(400万〜600万円)に設定することで、G6は中国の新エネルギー車SUV部門で最も人気かつベストセラーのモデルの1つとなる」と述べた。

アナリストの意見は分かれている。Blue Lotus Research Institute(ブルー・ロータス・リサーチ・インスティチュート)のマネージングディレクター、ショーン・ヤンは調査プラットフォームSmartkarmaを通じて発表したメモの中で、これまでよりもスピーディな充電と長い航続距離を提供することでG6にはテスラのモデルYから市場シェアを奪う「相応のチャンス」があるとの見方を示した。

だが、同じくSmartkarmaで発表した調査メモでCMB International(CMBインターナショナル)のアナリストらは、G6の目標価格帯では現在最も熾烈な競争が展開されているため、シャオペンが当初予想していたよりも激しい競争に直面するかもしれないと指摘している。

「新しいプラットフォームにもかかわらず、G6による今年のシャオペンの利幅拡大は限定的だと予想している」とアナリストらは述べている。「また、経営陣が2025年までに販売される10のモデルの大半は20万~30万元の価格帯になると述べており、同社はG9の失敗の後、高級車市場への製品投入を止めたようにも見える」とも指摘している。

86リサーチのワンは、G6の性能は最終的に価格設定に左右されるという。シャオペンはモデルYよりも安くするために利幅をある程度犠牲にしなければならず、一方で消費者を魅了するためにより高度な機能を提供する必要がある。また、テスラが下半期に再び割引を行う可能性も否定できず、そうなればシャオペンと競合他社にさらなる圧力をかけることになると、ワンは話す。

「もし2つのうちどちらかを選ばなければならないのであれば、投資家は納車台数が多い方を選ぶだろう」とワンはいう。「BYDやテスラと比べると、シャオペンはブランド認知度が劣る。同じ機能を同じ価格で提供するのであれば競えないだろう」とみている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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