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2023.05.30 11:15

投資家熱狂のエヌビディアがゲーマーの怒りを買っている理由

shutterstock.com

ここ最近の株価高騰により時価総額が1兆ドル(約140兆円)に迫っている米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は、その将来性をめぐり投資家を浮き足立たせている一方で、同社製品の長年の消費者であるPCゲーマーやテクノロジー製品のレビュワーたちの怒りを買っている。

エヌビディア株は今年に入ってから170%以上高騰。先週の第1四半期決算発表後は、25%以上上昇した。

同社が注目を集める理由は、現在起きているジェネレーティブ人工知能(生成AI)ブームにある。同社が製造するGPU(グラフィックプロセッシングユニット)と呼ばれる高性能半導体チップは、ゲームやグラフィック処理に使われるだけでなく、AI開発の原動力ともなっている。

同社製GPUは、OpenAIの生成AI「ChatGPT」に使われる言語学習モデル「GPT」の開発に使用された。さらに、テキスト入力に基づいて画像を作成する生成AIツールを提供するMidjourneyも今年、エヌビディア製GPUを採用したサーバーによるサービス提供を発表した。

エヌビディアが先週発表した第2四半期の売上高予想がアナリストから「天文学的」数字と評された一方で、ゲーム関連のインターネット掲示板では、ゲーミングPCの重要な部品であるGPUが今後さらに値上がりする可能性を嘆く投稿が相次いだ。

ゲーマーのエヌビディアに対する怒りは主に、最新GPUの「RTX 4000」シリーズにおける高い価格設定や、誤解を生むマーケティング手法、VRAM(ビデオメモリ)容量の不足、前世代からの性能向上の不足に対して向けられている。

昨年発売された上位モデルのRTX 4080とRTX 4090は、価格がそれぞれ1199ドル、1599ドルで、前世代の799ドル、1499ドルから値上がりした。さらに、性能が一段階低いGPUに同じ「RTX 4080」の製品名をつけて発表したことから、ミドルレンジのモデルをハイエンド並みの価格で売ろうとしているとの批判が殺到。結果、このGPUは「RTX 4070Ti」と名前を改めて発売されたが、前世代からの性能向上が比較的小幅なのにもかかわらず価格が上昇したことで不評を買った。

最近発表された「RTX 4060Ti」は、本来ならコストパフォーマンスに優れたモデルとしての位置づけだが、レビューでの評価は振るわず、売れ行きも低調だ。同社のゲーム事業の2023年第1四半期売上高は、前年同期比で38%減となった。その原因について同社は、「マクロ経済の低迷」と、「在庫レベルの正常化」に向けた出荷数の低下を挙げている。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は自社製品に対する批判への反論として、ムーアの法則(半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍となるという法則)は「死んだ」と主張。「1年半ごとに同じコストで2倍のパフォーマンスが得られるようになるというムーアの法則は終わった。チップのコストが時間の経過とともに下がるという考え方は残念ながら、もはや過去のものだ」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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