岩本は2018年、21歳のときにお茶の生産・研究開発から販売まで行うスタートアップTeaRoomを立ち上げた。文化事業やお酒やD2C商品のプロデュースなども行っている。その独自性は、裏千家から宗名を与えられた岩本が、「茶の湯」の思想を軸にした新しいお茶ビジネスのエコシステムをつくっている点にある。
そんな岩本を社外取締役に迎えた中川政七商店。代表取締役会長の中川政七は、岩本にどんなことを期待しているのだろうか。
日本と海外の間に線引きをしていない
——お二人の出会いは?中川:これまでたくさんの素晴らしい経営者の方々とお会いしましたが、岩本さんはこの10年で最も衝撃を受けたひとりです。
はじめてお会いしたのは、1年ほど前に、共通の知人から静岡の茶園に一緒に行かないかと誘われたとき。岩本さんに1日かけて静岡を案内してもらい、茶園を見せてもらったりしたのですが、その接待の仕方がとても丁寧で細かく、いかにも“茶人”という印象でした。
その後、中川政七商店の本社がある奈良にも見学に来てくれて、その際にもいろいろ話をする中で、彼にはぜひ社外取締役をお願いしたいと思い、打診に至りました。
中川政七商店 代表取締役会長の中川政七
——ライプニッツの山口周代表に続く2人目の社外取締役に、岩本さんを選んだ理由は?
中川:一番の理由は岩本さんが、僕ら他の役員とは違うジェネレーションだということです。元々20代の役員がいないので、僕らがどれだけ20代の人たちを理解しようと思っても無理な話で。そういう意味で岩本さんの視点が入ることに期待しています。
それから、岩本さんがビジネスをするにあたって、日本と海外の間に線引きをしていないのもいいと思いました。