Z世代のお買い物は「バイヤー型」 情報収集に特徴

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メディアで度々生態が取り上げられ、次世代消費の主役としても注目を集めるZ世代。そんなZ世代の購買行動に関する調査結果が5月26日、博報堂のシンクタンク、博報堂買物研究所ほかから発表された。全国に住む15~59歳の男女(3843サンプル)を対象にした調査からは、Z世代のコマース行動に次の4つの特徴が見られたという。

1.「開拓志向」:積極的に情報収集をして、自分がほしい情報を自ら取りに行く。
2.「越境志向」:良いものを選ぶために、国内・海外問わずフラットに製品・サービスを購入する。
3.「見極志向」:自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める。
4.「即決志向」:良いと判断したものは、忘れないうちに即決で購入する。

同社は上記の特徴から、Z世代がバイヤーさながらに自らの足で積極的に情報を獲得し、真偽を見極めながらコマース行動を行う姿が浮き彫りになったと説明。Z世代特有のコマース行動を、「バイヤー型消費」と名付けた。

まず、1.「開拓志向」については、「トレンドや流行りの商品を選ぶ」と答えた人がZ世代では39%となり、Y世代(26-41歳)の27%、X世代(42-59歳)の16%を上回る結果に。一方で、Z世代は「人と被らないブランド・メーカーを選びたい」(42%)、「店舗よりもSNSで商品を探した方が人と被らないファッションを探すことができると感じる」(45%)、「趣味や好きなことを深く極めたい」(74%)と答えた割合についても、Y世代、X世代より高かった。

他にも定性調査ではZ世代の回答者から、トレンド品といえども安易に飛びつかず、自分の嗜好と照らし合わせて購入をする姿や、自分が本当に極めたい趣味の買物については多少の失敗は厭わず、すべての知識を網羅したいという欲求が垣間見える意見が寄せられた。

次に2.「越境志向」については、「自分が知らない海外メーカーの商品でも、SNS上で日本人の評価が高ければ購入したいと思う」と回答したZ世代は57%で、Y世代(43%)、X世代(31%)を上回る結果に。一方で、「日本のブランド・メーカーを応援したい」と答えた割合は、Z世代が53%で、Y世代(61%)、X世代(66%)と比べ、最も低かった。

さらに3.「見極志向」については、「企業が発信する情報よりも、評価が高い個人のSNSの情報を参考にして買うことが多い」と回答したZ世代が51%で、Y世代(35%)、X世代(23%)より高い結果に。他にもZ世代の回答からは、自分が好きなインフルエンサーをフォローしている個人のコメントを参考に買物を行っていることや、安易にSNS上で企業アカウントをフォローせず、信頼できる情報だけを取得できるように自分のSNSアカウントを調整していることが分かった。

また、「製造プロセスや情報を公開している(透明性のある)ブランド・商品を選びたいと思う」と答えた割合についても、Z世代が43%となり、Y世代(38%)、X世代(39%)を上回った。

4.「即決志向」については、「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%で、他世代を抑え最高に。良いと思った商品を、「忘れないために即決で購入」するという意見も見られた。続けてクイックコマースユーザー(※)に利用理由を聞いたところ、こちらも「自由に使える時間が増えたから」と答えた割合がZ世代で最高(20%)となり、他世代を上回る結果に。定性調査では、「大事な時間を確保したいとき」、「欲しいものをすぐに手に入れたいとき」という理由がZ世代で顕著に見られ、時間の使い方への意識が高いZ世代ならではの使い方が見て取れた。

結果を踏まえ同社は、Z世代のバイヤー型消費の背景にはデジタルネイティブならではの情報価値観、買物価値観が根底にあり、Z世代が情報の信頼源を探し、SNSを駆使して自分の「買いたい」欲求に向き合っている姿がうかがえると説明。

「Z世代から信頼を獲得できる、商品情報の伝播方法やZ世代の買いたい衝動を逃さないシームレスな購買導線・決済を提供する新しいコマース体験など、彼らの特性をうまく捉えたプランニングが必要不可欠だと考えます」と分析した。

※ オンライン注文から数十分以内に日用品などを届けてくれるサービスのこと。即時配達サービスとも呼ばれている。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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