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2023.05.29

AIブームで株価急騰の「もう1社のチップメーカー」

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人工知能(AI)ブームで注目すべき株式銘柄はエヌビディア(NVIDIA)だけではない。もう1社のシリコンバレーのチップメーカーがアナリストの注目を集めている。マーベル・テクノロジー(Marvell Technology)のCEOは、AI部門の収益が今後の数年で4倍になると投資家に語り、5月26日の市場で株価を急騰させた。

マーベルは、クラウドコンピューティングや自動運転などを支えるソフトウェアとハードウェアを製造しており、特に注目すべきは、同社のチップがジェネレーティブAI(生成AI)に活用されている点だ。

25日発表の第1四半期決算の利益と売上高がアナリスト予想をわずかに上回ったマーベルの株価は、26日の市場で32%急騰して65ドルをつけた。これは主に、同社がAIブームから得る利益に対する期待が高まったためだ。

マーベルのマット・マーフィーCEOは決算発表後の電話会談で、昨年2億ドル(約280億円)だった同社のAI部門の売上が、今年は少なくとも2倍に伸び、2024年にはさらにその2倍になる見通しだと語った。これは、AI部門の売上が10億ドル近くに達し、昨年の総売上の20%近くにおよぶことを意味する。

ローゼンブラットのアナリストであるハンス・モーゼスマンは、25日の顧客向けメモで、AI分野の急成長を理由に、マーベルをエヌビディアと並ぶトップ銘柄に選び、マーベルの目標株価を100ドルに設定した。この株価は、2021年の最高値の91ドルを上回り、今年1月の30ドル台半ばから300%の劇的な上昇を意味する。

バークレイズのアナリストのブレイン・カーティスは、マーベルのAI部門の収益予測が強気派に火をつけたと指摘し、投資家は同社への投資を「AIのトレンドに乗るための安全な方法」と考えるべきだと述べている。

1995年にWeili DaiとSehat Sutardjaの夫妻によって設立されたマーベルは、その5年後のテクノロジーブームの中でナスダックに上場し、時価総額は一時200億ドルに達したが、すぐに約10億ドルに急落した。マーベルの現在の時価総額は520億ドルで、同業のエヌビディアの約5%に相当する。エヌビディアの株価は今年、年初来で165%上昇している。

フォーブスは、 DaiとSutardjaの夫妻がそれぞれ12億ドル相当のマーベル株を保有していると試算しているが、この夫妻は2016年に不正疑惑で会社から追放された。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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