国内

2023.05.31

「愛知からユニコーンを」ものづくり王国が世界から熱視線を浴びる、新たな理由

Governor's Letter 04 愛知県知事 大村秀章

愛知に大型施設が次々と誕生する理由

米国TIME誌が2023年3月に発表した「世界の最も素晴らしい場所50選」。日本からは「名古屋」「京都」が選ばれた。名古屋の選出理由として、アニメの世界観を表現した「ジブリパーク」(愛知県長久手市)、ウイスキーの製造で知られる「サントリー知多蒸溜所」(同県知多市)への高い評価がある。ジブリパークは2022年11月に開園し、「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリアがオープンした。今年度中に予定されている「魔女の谷」「もののけの里」のオープン後には、インバウンドを含めて年間約180万人以上の来場を見込む一大エンターテインメントスポットとなる。

このパークに加え、愛知県では大型施設が続々と姿を現す。2024年10月には日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」が始動する。2025年夏には延床面積約6万3000㎡、1万7000人の収容人数を誇るアジア最大級の「愛知国際アリーナ」がオープン予定だ。しかし、こうした大艦巨砲的な「ハコモノ」は往々にして負の遺産になることもある。大村はいかなる指針を持ち、肝煎りプロジェクトを進めるのか。

「付加価値を生まないことは手がけない。バリューを作っていくのが私たちの仕事です。だから、公共投資もするし、民間の投資を後押しもするし、官民ハイブリッドの投資も積極的に進める。スタートアップの拠点となるSTATION Aiは愛知県とソフトバンクとの共同事業ですし、ジブリパークは愛知県とスタジオジブリ、中日新聞社の三者が連携して整備・運営するもの。愛知国際アリーナは維持や運営をNTTドコモが務めます。

そして、STATION Aiは『国内外のスタートアップ1000社を集積する』と掲げています。そのコミットメントを守るため、私たち愛知県もソフトバンクも真剣に取り組んでいます。愛知国際アリーナもそうです。建設整備費約400億円のうち、約200億円をNTTドコモのグループが出資します。そこで、NTTドコモの技術の粋を集めて5G回線を引き、VRやAR、IoTの先端を投入したスマートアリーナが計画されているのです。ここには、世界中でアリーナを運営し、ロサンゼルスに本社を置くAEG(アンシュッツ・エンターテイメント・グループ)も参画しています。

こうした意欲あるパートナーと足並みを揃え、私たち愛知県もプレイヤーとして走ります。どんどん投資をして事業を起こし、バリューを創出する。プレイヤーである県と企業の熱意が、ジブリパーク、STATION Ai、愛知国際アリーナという運動体を突き動かしているのです」
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文=佐々木正孝 写真=近藤誠

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