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2023.05.27 08:00

AIブームで時価総額1兆ドル狙うエヌビディア創業者の先見性

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米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)にとって、5月25日はすばらしい1日となった。アナリストが絶賛する四半期決算報告と、AI(人工知能)革命を支えるチップへの膨大な需要を受けて、同社の株価は24%急上昇し、史上最高値を更新した。

エヌビディアの共同創業者でCEOのジェンスン・フアンは、株価の上昇により25日だけで65億ドルの資産を増加させた。同社の株式の約3%を所有するフアンの保有資産は、24日の市場が閉じた時点で約275億ドルだった。その後の第1四半期決算の発表を受け、彼の資産は24時間で23%以上増加し、現在は340億ドルに(約4兆8000億円)に達している。

「コンピュータ業界は、加速されたコンピューティングとジェネレーティブAI(生成AI)という2つの移行を同時に体験している」とファンは述べている。エヌビディアのチップは、その両方に対応できるように設計されており「急増する需要」に対応するため、供給を大幅に増やしていると彼は説明した。

現在60歳のフアンは、台湾で生まれ、幼少期をタイで過ごした後に、9歳のときに弟とともに米国に移住した。オレゴン州立大学でコンピュータサイエンスとチップデザインを専攻した彼は、1992年にスタンフォード大学で電気工学の修士号を取得した。

その後、初期のPCゲームに魅了された彼は、共同創業者のクリス・マラコウスキーやカーティス・プリームらとともに、ゲームのグラフィックスを向上させる市場に目をつけ、1993年にエヌビディアを創業した。1999年に同社をナスダックに上場させたフアンは、左腕に会社のロゴのタトゥーを入れている。

「1993年にまだ市場はなかったが、波が来るのがわかっていた。私たちは、その始まりにいた」と、マラコウスキーは2016年にフォーブスに語っていた。エヌビディアは、創業当初は苦戦を強いられたものの、GPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)の黎明期の市場で成功を収めた。GPUは、PCゲーム市場を巨大な産業に発展させた。

エヌビディアのGPUは現在、グーグルやメルセデスベンツ、アマゾン、メタを含む3万5000社以上の顧客のイノベーションを支えている。

時価総額1兆ドル突破も間近

「コンテンツが増えれば増えるほど、ビジュアルへの興味が高まり、より多くのプロセッシングパワーが必要になる」とフアンは2007年にフォーブスに語っていた。

エヌビディアのテクノロジーは、AIを駆使する企業にとって極めて重要なものとなっている。OpenAIのChatGPTやグーグルのBardのような新たなサービスには、生成AIを動かすチップが不可欠だ。エヌビディアのハイパワーチップは、市場に出回っている多くのチップよりも処理能力が高く、より大規模で複雑なデータを処理できる。

そのおかげで、同社の株価はかつてないほど上昇し、時価総額は約9400億ドルに達している。エヌビディアは、アップルやマイクロソフト、サウジアラムコ、アルファベット、アマゾンの5社に次ぐ時価総額が1兆ドルを超える企業になろうとしている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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