エヌビディアの共同創業者でCEOのジェンスン・フアンは、株価の上昇により25日だけで65億ドルの資産を増加させた。同社の株式の約3%を所有するフアンの保有資産は、24日の市場が閉じた時点で約275億ドルだった。その後の第1四半期決算の発表を受け、彼の資産は24時間で23%以上増加し、現在は340億ドルに(約4兆8000億円)に達している。
「コンピュータ業界は、加速されたコンピューティングとジェネレーティブAI(生成AI)という2つの移行を同時に体験している」とファンは述べている。エヌビディアのチップは、その両方に対応できるように設計されており「急増する需要」に対応するため、供給を大幅に増やしていると彼は説明した。
現在60歳のフアンは、台湾で生まれ、幼少期をタイで過ごした後に、9歳のときに弟とともに米国に移住した。オレゴン州立大学でコンピュータサイエンスとチップデザインを専攻した彼は、1992年にスタンフォード大学で電気工学の修士号を取得した。
その後、初期のPCゲームに魅了された彼は、共同創業者のクリス・マラコウスキーやカーティス・プリームらとともに、ゲームのグラフィックスを向上させる市場に目をつけ、1993年にエヌビディアを創業した。1999年に同社をナスダックに上場させたフアンは、左腕に会社のロゴのタトゥーを入れている。
「1993年にまだ市場はなかったが、波が来るのがわかっていた。私たちは、その始まりにいた」と、マラコウスキーは2016年にフォーブスに語っていた。エヌビディアは、創業当初は苦戦を強いられたものの、GPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)の黎明期の市場で成功を収めた。GPUは、PCゲーム市場を巨大な産業に発展させた。
エヌビディアのGPUは現在、グーグルやメルセデスベンツ、アマゾン、メタを含む3万5000社以上の顧客のイノベーションを支えている。
時価総額1兆ドル突破も間近
「コンテンツが増えれば増えるほど、ビジュアルへの興味が高まり、より多くのプロセッシングパワーが必要になる」とフアンは2007年にフォーブスに語っていた。エヌビディアのテクノロジーは、AIを駆使する企業にとって極めて重要なものとなっている。OpenAIのChatGPTやグーグルのBardのような新たなサービスには、生成AIを動かすチップが不可欠だ。エヌビディアのハイパワーチップは、市場に出回っている多くのチップよりも処理能力が高く、より大規模で複雑なデータを処理できる。
そのおかげで、同社の株価はかつてないほど上昇し、時価総額は約9400億ドルに達している。エヌビディアは、アップルやマイクロソフト、サウジアラムコ、アルファベット、アマゾンの5社に次ぐ時価総額が1兆ドルを超える企業になろうとしている。
(forbes.com 原文)