ストレスや飲酒・喫煙などが原因で起こるとされている「歯ぎしり」。放置すると歯がすり減るだけでなく、歯のひび割れ(エナメルクラック)や歯周病の悪化、知覚過敏、顎関節症などを引き起こすリスクがある。
しかし現状では、マウスピースによる歯の保護など、歯ぎしりによる被害を緩和する対処療法が主流で、歯ぎしり自体を減らす根本的な治療法は見つかっていない。そうした中、5月24日、岡山大学とノートルダム清心女子大学の研究グループが、睡眠中の歯ぎしりが食物繊維の摂取量と関連している可能性を、世界で初めて発見したことを発表した。
岡山大学 学術研究院医歯薬学域の外山直樹助教とノートルダム清心女子大学食品栄養学科の長濱統彦教授らの研究グループは、両大学・大学院の学生143名を対象に、口腔内診査と自己記入式の質問票を通して、睡眠中の歯ぎしりの有無を調査。さらに、過去1カ月の35種類の栄養摂取量を調査・推定し、睡眠中に歯ぎしりをしている学生(58名)としていない学生(85名)で栄養摂取量を比較したところ、食物繊維の摂取量が少ない学生ほど、睡眠中の歯ぎしりを起こしやすい傾向があることが分かった。
同研究グループは、今後は食物繊維を摂取することで本当に睡眠中の歯ぎしりが減るのかを検証していく必要があると説明。研究結果は、3月31日にスイスの学術誌「Journal of Clinical Medicine」のオンライン版に掲載された。
患者の歯ぎしり音の自己申告を基にした欧米やアジア諸国での調査によると、睡眠時の歯ぎしり発生率は小児で10~20%、成人では約5~8%、高齢者で2~3%とされている。今後の研究で、食物繊維の摂取によって睡眠中の歯ぎしりを減少させられることが分かれば、多くの人の健康改善に寄与することになる。
プレスリリース
参考)
日本歯科医師協会|お口のことなら何でも分かるテーマパーク8020
https://www.jda.or.jp/park/trouble/bruxism02.html