米軍は今、西太平洋で中国軍を念頭にした各軍種の再編を急いでいる。その一つが、沖縄県に駐留する第12海兵連隊が2025年までに生まれ変わる、第12海兵沿岸連隊(MLR)だ。MLRは、米軍が海空優勢を獲得できない状況を前提に、移動しながら地対艦ミサイルなどで攻撃を行う部隊だ。MLRは緊急事態の際、南西諸島や台湾、フィリピンなどに展開するとみられている。ただ、米軍の文書によれば、MLRは攻撃を加えた後、敵からの報復攻撃を避けるため、48時間以内に別の場所に移動することを想定している。自衛隊関係者は「米軍の目的は中国に勝利することだから、迷わず移動するだろう。しかし、そこに住民がいた場合にどうするか。自衛隊は住民を捨てて、米軍と一緒に移動するわけにはいかない」と語る。
また、日本と米国は現在、日本が保有を決めた反撃能力の詳細について検討を重ねている。具体的には、日本が400発の購入を予定している米巡航ミサイル「トマホーク」について、標的を発見してから攻撃するまでのターゲッティングや、敵に与えた損害評価などを巡る日米協力の詳細を詰めている。中国は当然、緊張するだろう。
日本が、中国による日中安保対話の打診を奇貨として、協議に応じたことには、日中外交の強化を通じて、無用な誤解を避ける努力をするという意味があったとみられる。日中両政府は5月16日、ホットラインの運用を始めたと発表した。
また、日本や韓国が米国に事前通報したからと言って、米国が同じように、日韓両国に自分たちの外交を事前通報してくれるわけではない。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国の外交担当トップの王毅共産党政治局員は5月10~11日にウィーンで会談した。米国は事前に、この動きを日韓両国には伝えなかった。
かつて、1949年に中華人民共和国が誕生した後、米国は日中国交正常化を許さなかった。逆に1971年7月、キッシンジャー米大統領補佐官が極秘に訪中した。ニクソン大統領はキッシンジャー氏の帰国後、極秘訪中の事実と大統領自身が近く訪中する考えを発表した。中国大使を務めたことがある谷野作太郎氏によれば、当時の外務省の幹部たちは「これが米国のやり口か」と憤慨し、怒り狂っていたという。
外交筋の一人は「米国には米国なりの対中外交戦略がある。今は、日本が米国より少し前に出て、韓国は日米よりもだいぶ後ろにいる状態だ」と語る。別の外交筋は「米国は自分たちのペースに合わせるのが当然だと思っている。でも、3カ国で国益はそれぞれ違う。団結が一番重要だが、それぞれ異なるアプローチがあっても良いのではないか」と語った。岸田文雄首相は22日、記者団に対し、日中首脳会談について決まったことはないとする一方、「建設的、安定的な関係を双方の努力で築いていかなければならない」とし、首脳会談を模索する考えを示した。
過去記事はこちら>>