──経営者として大切にしている考えは?
「できない理由を探さない」という姿勢と「やらないことを決める」という方針を大切にしています。まだ子どもが小さく、育児と仕事の両立が課題だと感じていたころ、助産師の先輩からやらない理由を積み上げるべきではないというアドバイスをいただき、事業に踏み切るきっかけになりました。
起業を決意してからは、優先順位をつけ「やらないことを決める」ことの重要性を学びました。「やりたいことリスト」はいくらでも作れてしまう。だからこそ、本当にやりたいことかどうかを自問自答しています。
特に子育てをしていると、毎日理想通りに仕事をやり切ることが難しい。予定を無理に詰め込みすぎないことや、業務を強制終了させる時間管理も心がけています。
──創業期に苦労されたことは?
意思決定が難しかったのは、ビジネスモデルを決める時です。最終的に私たちのビジネスは「個人」というエンドユーザーに行き着くモデルですが、B2B、B2Cモデルをそれぞれ検討しました。
最終的には「働き方」や「職場環境でのサポート」を変えることで社会変革を目指すと決め、まずは事業会社との連携を進めていくB2Bモデルに注力することにしました。
もう一つ課題に感じているのは、短期的な効果の見せ方。個別相談を受講する従業員一人一人に見える効果と、その集約形として期待される事業部や組織風土へのインパクトについては、成果が表れるまでの時間も異なります。事業会社に納得してもらうための、短期的な成果の見える化や説明方法については試行錯誤しています。
提供=じょさんしGlobal
心の「余白」が子育てしやすい社会につながる
──少子化対策や働き方改革など、日本全体で子供を産み育てる取り組みが促されていますが、じょさんしGLOBALは現状をどのように変えていきたいと思っていますか。妊産婦さんや子育て世帯とその周りにいる方々の心理的な「余白」を作ることを目指しています。お客様には「女性としてどう生きるべきか」と悩んでいる方が多い印象を受けます。親になることの孤独感やプレッシャーを軽減し、心に余裕を作ってあげたい。オンライン相談の利用者から「モヤモヤが晴れて心が軽くなった」「誰にも話せなかったことを話せて安心した」と言っていただけるのは大きな喜びです。
日本では医療費や子育てに関する制度は充実しているものの、専業主婦に対する偏見や周囲の無理解など、子育てへの社会環境は厳しい。女性や子育て世帯が自信を持ってさまざまな生き方・働き方を選択することができる、一人一人が本質的な幸せを重視できる社会になって欲しいと思います。