AI

2023.05.25

マイクロソフトが「Bing」をChatGPTの検索エンジンに

OpenAIのChatGPTの出力に、マイクロソフトの検索エンジンからの情報が追加されることに(Getty Images)

米国時間5月23日、OpenAIの最大の出資者であるマイクロソフトは、同社のBing検索エンジンをChatGPTに統合することを発表した。これによって、これまでは2021年以前のデータにしかアクセスできなかったAIチャットボットChatGPTが、リアルタイムな情報提供機能を獲得する。

マイクロソフトは、火曜日にシアトルで開催された開発者会議で、このBingからの情報を取り込めるチャットボットを初公開した。

ChatGPTは5月に、より最新の情報を得るためにインターネットを閲覧できる「実験モデル」を発表した。このモデルは、有料会員であるChatGPT Plusのユーザーのみに提供されていた。当時は公表されていなかったが、すでにBingを使用していた。

当面、このBing機能は、2月に開始された月額20ドル(約2768円)のプレミアムサービス「ChatGPT Plus」の加入者のみが利用可能だが、いずれは2021年9月以前のデータしか引き出せない無料版ChatGPTでも使えるようになる予定だ。

マイクロソフトがAIをBingに実装したことで、これまでグーグルと実質的に競合できていなかった同社の検索エンジンのトラフィックは16%増加した。グーグルも、今年5月の年次開発者会議で、自社の検索機能に生成AIを統合する計画を発表した。グーグルの新たなSearch Generative Experience(SGE、生成型検索体験)は、ユーザーがグーグルで検索した際に表示される青いリンクを、検索クエリに対する回答を要約した緑色のテキストエリアに置き換えて提供する。これはChatGPTが提供する応答形式に似ている。

マイクロソフトは今年1月、OpenAIに対する新たな100億ドル(約1兆3800億円)の投資を発表した。これは2019年と2021年の投資をもとにしており、OpenAIに対してマイクロソフトのクラウドコンピューティングサービスAzureを独占プロバイダとするためのものだ。この緊密な関係により、OpenAIのGPT-4技術に基づくAIコパイロット(AI副操縦士)が生まれ、ユーザーがBingやオフィスなどのマイクロソフトのアプリケーションでタスクを遂行することを支援している。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは先週、AIがグーグルやアマゾンなどの技術大手を完全に覆す可能性があると述べ「パーソナルエージェントの戦いに勝つ者こそが大きな成果を収めるでしょう。もしそれが手に入ったら、もう二度と検索サイトを訪れることも、プロダクティビティサイトを訪れることも、Amazonに行くこともないからです」と語っている

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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