当時、これに似た地質特性をもつ太陽系外惑星が実在することは知られていなかった。だがこのほど、ムスタファーそっくりの活火山で覆われた惑星を発見したとの研究論文が、科学誌ネイチャーに掲載された。
この惑星「LP 791-18 d」は地球サイズで、約90光年離れた小型の赤色矮星(わいせい)を周回し、他の2つの大型惑星と共に星系を構成している。2018年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)のトランジット系外惑星探索衛星(TESS)望遠鏡と、今は引退しているスピッツァー宇宙望遠鏡の観測により見つかった。
研究に参加した米カリフォルニア大学リバーサイド校は解説記事で「惑星たちは、中心星を一周するたびに互いのそばを通過する。その際、一番外側を周回する巨大な惑星の引力が、内側の惑星の軌道を真円から楕円に変える。この軌道の変形が作り出す摩擦によって惑星内部が加熱され、地表に火山活動を生み出す」と説明している。
同じような効果は、太陽系でも知られている。木星の衛星で最も活発なイオの火山活動は、巨大ガス惑星である木星の引力がこの小さな衛星を常に変形させていることで起きている。
こうした活火山は、地球外生命の維持に必要な重要元素を生み出している可能性がある。
論文の共著者でカリフォルニア工科大学の研究者のジェシー・クリスチャンセンは「地球や地球外の生命の起源を幅広く研究している宇宙生物学にとっての大きな疑問は、果たして地殻変動や火山活動が生命にとって必要であるかどうかというものだ」と語っている。
火山放出物の主要成分は二酸化炭素と水蒸気で、惑星の表面温度を調整する重要な役割を果たし、生命の存在に必要な基本的化合物となる。
同じく論文の共著者であるカリフォルニア大学リバーサイド校の宇宙物理学者スティーブン・ケインは「火山活動が重要な理由は、火山放出物が惑星大気の主要な供給源であり(『シスの復讐』で、ムスタファーには呼吸可能な大気が実際にあった)、大気があれば地表に液体の水が存在する可能性があるからだ。水は、現在知られている形での生命の維持に必須だ」と説明する。
クリスチャンセンは「大気を供給している可能性に加えて、これらの活動は、さもなければ地殻の中に沈んで閉じ込められていたであろう物質を撹拌している可能性もある。その中にはたとえば、炭素のように生命にとって重要であると考えている元素も含まる」と話した。