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2023.05.24 11:30

中国の出前大手「美団」が香港進出 新たな成長機会求め

遠藤宗生

Getty Images

中国の料理宅配大手・美団(Meituan)は22日、香港で新たな出前サービス「KeeTa」を開始した。

同社は北京に本社を置き、香港株式市場に上場している。プレスリリースによると、KeeTaは当初、旺角(モンコック)などの一部地域限定で展開し、年内に市内の他地域にも拡大する予定という。

中国テクノロジー企業の間では、中国本土以外での成長を模索する動きが広がっている。先週はアリババやテンセントを含む複数の大手の決算が発表され、中国経済の回復が不均一で、そのペースが鈍化している状況が浮き彫りになった。

例えばアリババは、3月期の海外事業の売上高が前年同期比29%増となった一方、中国事業の売上高は減少し、全体の成長率はわずか2%にとどまったと報告した。

美団を創業した王興(ワン・シン)は、香港での競争に打ち勝つため、昔ながらの手法である割引に頼る方針だ。同社は、競合のデリバルーやデリバリー・ヒーローの顧客を奪うために、クーポンを配布する予定で、KeeTaのポスターには割引額が総計10億香港ドル(約177億円)になると書かれている。

25日に第1四半期の決算を発表する予定の美団は、投資家のセンチメントを高めるための新たな成長を必要としている。中国経済の先行き不透明感や米国との緊張の高まり、さらにTikTok(ティックトック)の親会社バイトダンスが国内で新たなフードデリバリーの立ち上げを進める中で、美団の株価は年初から3分の1近くも下落している。現在98億ドル(約1兆4000億円)の資産を持つ王は以前、中国での事業拡大に向けて配送部門やマーケティング部門で1万人以上を採用すると宣言していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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