2024年は新卒採用の難易度高まる 売り手市場と早期化を嘆く声が企業から

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新卒の売り手市場が続いている。新卒採用事業を手がける学情の調べによると、2024年3月卒業予定の大学生・大学院生の2023年4月末時点での内々定獲得率は、6割超(64.3%)。前年(56.9%)を上回ったほか、すでに内定を獲得し、就活を終了した学生は4人に1人(25.8%)に上るという。

そうした中、新卒採用に苦戦する企業が増えている。同社が4月24日~28日、企業・団体の人事担当者529名を対象に実施した調査によると、2024年卒学生の採用について、「難しい」と回答した企業が約半数(47.3%)となり、「やや難しい」(34.2%)と答えた企業と合わせると、8割超(81.5%)を占めたことが明らかになった。

人事担当者からは、「プレエントリー数も選考参加者数も、前年より大きく減っている」「昨年と同じ時期に採用広報を開始したら、母集団が昨年の半数にも満たない。早期化を実感している」「既に複数の内々定を持っている学生が多く、内々定を出しても承諾に至らない」などと、売り手市場や早期化を指摘する声が寄せられた。

一方で近年、コロナ禍で採用活動を行ってきたことによる影響をあげるケースも。「コロナ禍でリアル開催イベントの出展を見合わせていたのでノウハウがなく、いざリアルの場で母集団形成をしようと思っても効果的にアピールできていない」「ここ数年オンライン選考が大半だったので、リアル面接で学生をグリップするスキルが低下している」などといった意見が見られた。

さらに、24年卒採用の難易度が高いことを受け、20代通年採用を検討しているかを尋ねたところ、「既に実施している」と回答した企業が半数(50.1%)を占める結果に。「検討している」と答えた企業も2割超(23.2%)存在し、従来型の横並びの一括採用から通年採用へと移行する企業が増えていることがうかがえた。

通年採用を実施する企業側には、一括採用では出会えない候補者と出会えるチャンスを得られることや、留学生・既卒者の採用にも対応できること、他にも一括採用より余裕を持って選考を進められる、などといった利点がある。


近年ではリクルートやヤフー、楽天など大手企業で通年採用を導入する動きがあるものの、一括採用を継続する企業も存在する。企業は変化する新卒採用市場や競合の状態などを確認しながら、どの採用方法が自社に適しているのかを見極め、選択していく難しい舵取りを迫られている。

参考)学情『2024年卒 内々定率調査 2023年5月度』
https://service.gakujo.ne.jp/24naiteiritsu0502


プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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