法的な影響
ハンクスは、俳優たちが肖像権を守るために講じている対策についても説明。「あらゆる俳優組合、あらゆる芸能事務所、あらゆる法律事務所で、私や他の俳優たちの顔や声が本人の知的財産であるということから生じ得る法的な影響を検討する議論が行われている」と述べた。報道によると、Netflix(ネットフリックス)は最近の契約に、俳優の声を自由にシミュレーションに使えるようにする項目を盛り込もうとしたとされる。問題の契約書には「現在知られているすべての技術と手順、または今後開発されるすべての技術と手順によって、全宇宙において永久に」という、まるでNetflixドラマ『ブラック・ミラー』の脚本さながらのディストピア感に満ちた、印象的な一文が記されていた。
注目すべきは、全米脚本家組合(WGA)と映画制作会社との間の主要な争点の1つが生成AIの規制だという点だ。WGAは、生成AIの訓練に脚本家の作品が使われたり、脚本の執筆や編集に生成AI技術が使われたりするのを阻止しようとしている。
制作会社側はWGAの提案を全面拒否し、代わりに「技術の進歩について協議する年次会合」の開催を提案した。
他の俳優の見解は?
故ロビン・ウィリアムズは、迫り来るAIの脅威を予見していたとみえ、自身の死後に画像がデジタル化されてメディア利用されることを厳しく制限する法的措置を取っていた。また、キアヌ・リーブスは最近、ディープフェイクとAIの台頭を「怖い」と評した。
「何が歯がゆいかといえば、自分の(俳優としての)行為主体性を失ってしまうことだ」とリーブスは説明している。「映画撮影で演技する場合は、もちろん編集されるとはいえ、出演していることに変わりはない。でもディープフェイクの世界では、俳優自身の視点は一切ない」
リーブスは、AI技術の背後に「それらをコントロールしたい企業支配」があると指摘。AIは人間の労働力を脅かす存在だとし「俳優の芸に対して出演料を払っている人々は、実は俳優本人には払いたくないのだ。むしろ積極的に俳優を回避できる方法を探している。なぜなら、アーティストは厄介だからだ。人間は扱いが面倒だからだ」と語った。
(forbes.com 原文)