経済・社会

2023.05.29 13:30

貨物流通量が少ない今こそサプライチェーンの問題解決に取り組むべき

こうした混乱のタネの1つは、すでに米国西海岸の港湾に影響をおよぼしつつある。主に米国西海岸の港湾労働者たちの組合である国際港湾倉庫労働組合(ILWU)と、経営者側である太平洋海事協会(PMA)の契約が、2022年7月1日に失効したのだ。両者は、同年5月という早い段階から交渉に入ってはいたものの、それでも遅すぎたのは明白だ。

残念ながら、両者はまだ新たな合意に達してない。NRFは当事者に対し、貨物流通を滞らせる行動をとらないよう求めているものの、すでに混乱は生じている。

ロサンゼルス港とロングビーチ港では、4月上旬に労働者が2回連続でシフトに出勤しなかったと港湾管理局が発表した。以後も、組合は出荷を遅らせる、あるいは、機材に安全面での懸念を意味する「赤札」をつけるといったかたちで、業務を停滞させている。

NRFは、組合と協会幹部に対して、交渉のテーブルに戻るよう求めるとともに、両者が最終的に契約を締結できるよう、バイデン政権に介入を要請している。

港湾業務に関しては、データの標準化、延滞料金の管理、空コンテナの返却といった、対処を必要とする課題がいくつもある。これに加えて、労働争議による混乱も考慮しなければならない。

多くの荷主は、西海岸港湾労使の契約が失効する前に、東海岸やメキシコ湾岸に貨物をシフトさせ、労働争議による影響を最小限に抑える対策をとった。こうしたルート変更により、移動距離が増加し、またパナマ運河の通過にともなうコストと時間が余分にかかるため、支出の増加は避けられない。

台湾、中国、韓国からの商品輸入には、西海岸港湾の操業が必須と言っても過言ではない。これらの輸入に迂回路を利用しなければならないとしたら、大幅な遅延が生じる。

今こそ、サプライチェーンの管理と運用に長年はびこってきた問題に対処すべきだ。そうすることで、いずれ輸入が全面的に回復した際に、システムが全体として対応できるようになる。また、次にサプライチェーンが大きく撹乱された時にも、悪影響を最小限に抑えることができるだろう。

食料品から衣料品まで、あらゆる商品の価格が高騰しているため、消費者は今年、概して支出を抑制すると考えられるものの、最終四半期には売上が回復する可能性がある。小売業者が特別価格のプロモーションを提供し、購買意欲を刺激するため、大半の消費者は、最終四半期にホリデーシーズンのプレゼントを購入する傾向にあるからだ。

forbes.com 原文

翻訳=ガリレオ

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