私たちの発見は、居住可能な惑星は、位相空間密度の低い環境で見つかる可能性が高いことを示していると英国・リバプール・ジョン・ムーア大学大学院生のスカーレット・ロイルが学会で発表した論文で述べている。広義には、位相空間密度が低いというのは銀河として密度の低い環境で恒星が生まれていることを意味するのに対し、高い位相空間密度は銀河としてより高密度な環境であることを意味している。これは、銀河円盤の中の波紋と流れの領域にそれぞれ対応している。
NASA太陽系外惑星アーカイブによると、これまでに5200個以上の太陽系外惑星が検出されたことが確認されており、天の川銀河のすべての恒星のおよそ3分の1が、惑星系を擁している。しかし、密度の高すぎる銀河位相空間に存在する惑星系は、惑星の多重度が低く、惑星軌道がずっと短いことがわかっている。それらの惑星系は、太陽系のように密度の低い領域にある系と比べて、高温の木星型惑星が過剰に存在していることも明確に示しているとチームは指摘する。
研究には、欧州宇宙機関(ESA)の位置天文観測探査機ガイアをはじめ、NASAのアーカイブなどさまざまなデータが使用された。ロイルらは、研究の範囲を太陽の質量の2倍以内の太陽類似星で、年齢12~35億歳、地球から120光年以内にあるものに限定した。チームは次に、恒星を速度あるいは運動量に基づいて、位相空間密度の高いものと低いものとに分類した。
現在の惑星形成の枠組みでは惑星系を独立に扱っているが、その惑星系の特性は外部の銀河環境の影響を受けているとロイルはいう。高密度の領域では、惑星は中心星から遠い軌道を周回する傾向があり、それは太陽系のハビタブルゾーンと一致しているとロイルは話した。
惑星系は、天の川銀河のセントラルバー、渦巻き腕、あるいは通過する矮小銀河による重力摂動の影響を受ける可能性があるという。あるいは、天の川銀河の隣にある巨大なアンドロメダ銀河(M31)が数十億年後に天の川銀河と合体すると予測されているような、巨大渦巻銀河同士のの大規模な合体の影響を受ける可能性もある。