宇宙

2023.05.28 15:00

太陽系はやはりレア、天の川銀河の動力学的環境が居住可能な惑星系形成を妨害

安井克至

太陽系ではどうなのか?

太陽系は、ロイルのいう密度の低い恒星環境の中にあり、そこでは空間的に近い場所に恒星がある確率はかなり低いという。

恒星は、巨大な分子雲として命が始まり、銀河全体の恒星形成領域という誕生環境の中で自然に集合する。黄色矮星である太陽は46億年前、天の川銀河面にある散開星団と呼ばれるものの中で、そのような雲の1つから形成された。

かつて太陽には姉妹恒星があったが、はるか昔に消滅し、現在太陽は天の川銀河の渦巻腕の1つの中央平面の中にあると考えられている。何億年にもわたって、太陽は天の川銀河が回るのといっしょに動いているが、同時に銀河の中央平面を挟んで上下にも動いている。それは小さな池に浮かんだ釣りのウキが水面でぷかぷか動いているのと似ている。

恒星たちは生まれたとき、自然に集団を作り、同じ速度で、ほぼ同じ方向に動くグループを作って旅することが多い。しかし、そこから空間的に分散し始めるとロイルはいう。

木星サイズの惑星は、中心星からおよそ5~10天文単位(AU、地球から太陽までの平均距離 )の位置で形成されると一般には考えられている。たとえば、木星は太陽から5AUの位置を周回している。しかし、ホット・ジュピター(熱い木星、軌道が中心星と驚くほど近いためにそう呼ばれている)を含む太陽系外惑星群は、惑星円盤のはるか外側で形成され、その後内側に移動した可能性が高い。今も残る疑問は、なぜそんな移動が起きたのか、だ。

銀河の力学的な摂動が、惑星系に何らかの影響を与え、それらのホット・ジュピターを内側へと移動させた可能性がある。さらに、位相密度の高い領域にある惑星は、位相密度の低い領域にあるものよりも、単独で惑星系を作る傾向が強いことがわかったと彼女はいう。

それらの惑星が完全に形成されると、惑星系が外部環境の影響を受け、惑星を内側に送り込まれ、あるいは系の外へと放り出される可能性があるとロイルは考えている。

さらに、銀河の摂動を多く受ける惑星系は、居住可能である可能性が低いとロイルは予想している。それは生命が形成されるのに十分な安定状態が続かなかったからだ。

太陽系はどのくらい珍しいのか?

「私の感覚では、非常に稀です」とロイルはいう。

それは、地球を保護すべきであるより大きな理由だ。

ロイルは「メディアにおける太陽系外惑星に関する誤情報の氾濫」を懸念している。気候変動を理由に新しい居住地を見つけるべきだという人たちがいるが、それはきわめて非現実的であり、地球に対する危険な態度だと彼女はいう。

「地球は驚くべき惑星です。1万種以上の草木と1万種以上の鳥類がいますが、太陽系外惑星では藻類が1つ見つかっただけで異常なほど興奮するのですから。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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