この動きで確実に生存の可能性が高まる。小型擲弾のVogは地面との衝突で爆発するため、金属片の大半は外側と上方に飛ぶ。地面に寝そべっている人なら、近い場所にいても爆発を生き延びることができる。多くの映像は
擲弾がすぐ近くに落ちた場合でも生き延びられることを示唆しているが、それでも負傷する可能性は高い。
ニアミスの後に兵士が止血帯を装着している映像もあり、深刻な出血をうかがわせる。また、負傷した兵士が、他の兵士が助けようとしたときに
再び攻撃を受ける様子をとらえた映像もある。
現在のVogベースのドローンは、兵士を殺すのではなく負傷させているようだ。空中さく裂するタイプははるかに威力があるだろうが、現在のシンプルな設計のものよりずっと複雑で高価だ。
ドローンによる攻撃を受けて死んだふりをしているロシア兵もいるようだ。ロシアのメディアは、ある兵士がこのトリックを使ってウクライナのドローンを素手で捕らえたと伝えている。最近ではドローン操縦士が念のため
追加で数発の爆弾を投下することもあるようだ。
映像はドローンを使った爆撃がいかに残酷で厄介であるかを示している。破壊を間近で見る操縦士の心理的な影響は推して知るべしだ。また、ドローンの下にいる兵士もトラウマになるに違いない。別のロシア人ブロガー「Older than Edda」は、ウクライナ軍がドローンをある位置の上空に集中させ、その下にいる者を動けなくして補給を不可能にしていると指摘する。「Older than Edda」はこの方法を「作戦地帯の孤立化」と呼んでいる。
「ここで重要なのは敵を殺すことではなく、敵を怖がらせて、動けないようにすることだ。そうすると士気はぐっと下がる。数日でトランシーバーのバッテリーも水もなくなる。そして、最も鍛えられた戦闘員でさえ陣地を放棄する」とこのブロガーはいう。
どちらのブロガーも降伏の可能性については言及していない。ウクライナの映像には、ロシア兵が
ドローンに降伏して武器を捨て、捕虜としてウクライナ軍の後方に連れて行かれるシーンが映っていた。これは、ドローンから投下された降伏方法を伝えるビラや、
動画に映っているようにドローンからの個別の呼びかけに反応した動きだろう。
紛争が始まって1年が過ぎ、ドローンによる爆撃はロシア軍陣地の安全性と快適性を著しく低下させている。これは、ウクライナ軍の来る反転攻勢の重要な前兆かもしれない。いくら地面を転がっても反攻は免れないだろう。
(
forbes.com 原文)