2023.05.21

BMW i7は世界で最も優れた電気自動車だけど……。

BMW i7

BMW i7は現在、販売されている電気自動車(EV)の中で最も優れたクルマといえる。 今回は、先月試乗した「i7 XDrive60エクセレンス」というBMWフラッグシップ・モデルを評価しよう。

ロールスロイスの次ぐらいに優れているにもかかわらず、その顔は決して美しいとは言えない。僕が好めないのは、モンスターグリルと2分割ヘッドライトを備えた真正面からのビューだ。正直なところ、同車はエンジンがないEVなので、(ラジエーターに風を通す)グリルの必要はない。

でも、どのカーメーカーも、やはりブランドイメージ向上とアイデンティティ強化を目指しているので、最近はより目立つグリルのデザインに夢中のようだ。最初、運転した時にふと思った。前方の車のドライバーがルームミラーでi7のグリルをパッと見たら、怖くて退きたくなるだろう。



いっぽう、i7の側面はかなり平坦で、21インチのホイール、銀と紺色のツートーンボディ色、キューっと引き締まったテールの部分は気に入っているけどね。だから、真横から見れば、不快な思いをしないで済むだろう。

ついでに、気になるi7のスペックをチェックしよう。車重は2.7トン、全長が5390cm、全幅が1950cmとは、タイムズの駐車場やタワーパーキングには入らない。バッテリーの容量は101.7kWh、航続距離はWLTCモードでは650km(リアルワールドでは500km!)、パワーは536馬力、フルスペックの価格が2200万円とは、本当にEVの好きな富裕層しか購入しないような気がする。この数字を、21世紀の過剰さと、EVへの急速なシフトがもたらした反動の産物だと解釈する人がいるのは間違いない。



ただ、100kWh超の電力量をもつバッテリーは、今の日本の充電インフラだと短時間では80〜100km分しかチャージされないし、ある意味で小型EVより購入のハードルは高い。テスラ・モデルSほどは速くないけど、0−100km/hの加速は4秒超なので、決して遅くはない。でも、まあまあ速いだけではなく、乗り心地もしなやかだし、とにかく静か。また、ステアリングは軽いけど、ちゃんと路面からのフィードバックを拾っているので、高速コーナーであまりロールしないのは気持ちがいい。
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