ガーマンによると、このデバイスの初期の価格は3000ドル(約41万5000円)という、かなりの高値になるが、将来のバージョンアップによって、iPadやApple Watchと同程度の価格にまで引き下げられる可能性があるという。
また、アップルの野望は、最終的に人々が1日中このデバイスを連続的に装着し、現在はiPhoneやMacで行う日常的なタスクを置き代えることだという。
「このデバイスは、手と目で操作することができ、アップルの他のデバイスに搭載されている多くの種類のアプリを実行できる」とガーマンは述べている。
アップルは当初、このデバイスが300万台も売れると考えていた模様だが、初期段階ではニッチなデバイスになると認識し、現在は90万台の販売を見込んているという。
また、ガーマンのレポートによると、元アップルのマーケティング担当重役で現在は独立コンサルタントであるマイケル・ガーテンバーグは、MRヘッドセットの真の市場がないことや、Magic LeapやHoloLensのデバイスの売上状況を挙げて、アップルのヘッドセットが「史上最大のテクノロジーの失敗の1つ」になりかねないと警告している。
アップル社内の議論では、Mac miniほどの大きさのベースステーションを別に用意して、ヘッドセットのパワーアップを図るアイデアが検討されたという。
しかし、1年前までプロジェクトに携わっていたジョナサン・アイブは「性能を多少犠牲にしても、単独で使用可能な最大限の携帯性を持つデバイスを希望した」とガーマンは述べている。
アイブはまた、アップルが人間同士を隔離するようなプロダクトを作ることを懸念したという。その結果「ユーザーがヘッドセットを仮想現実(VR)モードから拡張現実(AR)モードに切り替えたときに、外部のカメラが周囲を撮影し、スクリーンに表示する、『ビデオパススルー』と呼ばれる機能」が生まれたと、レポートは主張している。
ユーザーの表情を伝える「外向きディスプレイ」
さらに、アップルのヘッドセットには、外向きのディスプレイがあり、ユーザーの目の動きや顔の表情が表示されるという。同社はこの機能を、他社のVRヘッドセットとの重要な差別化要因に位置づけている。このデバイスに詳しいある人物は「外側のスクリーンによって、人々はロボットと話しているように感じることなく、ヘッドセットの装着者と対話することができる」と述べている。これがどのように機能するのか、あるいはどのように見えるのかはまだ誰にもわからない。しかし、これはすばらしいアイデアであり、アップルがうまくやればとても楽しいデバイスになることだろう。
(forbes.com 原文)