銀行の数があまりに多すぎるように見えるかもしれないが、筆者としては、こうした状況が豊かで活気ある金融ネットワークの形成に寄与したと確信している。これだけ多くの銀行、特に小規模な地方銀行がなければ、ここ数十年の住宅ローンや小企業向けローンなどの多種多様なローンが発展することはなかったと考えられる。
それだけでなく、こうした銀行は「コロナ禍や2008年のリーマン・ショックなど、強いストレスが発生している時期には、より大規模な銀行よりも業績が良くなるケースが多い」と指摘するのは、連邦準備制度理事会のミシェル・ボウマン理事だ。ゆえに、これらの小規模行を保護することは「規制および法制度上の最優先事項」であるべきだとボウマンは主張している。
景気後退に備え、ゴールド関連資産に投資を
ここで筆者の考えを述べるなら、一般に、金融システムにストレスが発生している時期には、投資家は金(ゴールド)および金の採掘会社投資することが重要だと思われる。今回も例外ではない。先述のように、地方銀行株は、年初来で時価総額の約3割を失っている。一方、同期間に金採掘会社の株は25%値上がりし、その事業を支える資産である金の価格も年初来で11%上昇している。
追加利上げの影響が経済に完全に浸透していくなかで、金の価格は史上最高値を更新する展開が現実のものとなっている。市場は、5月はじめの金利引き上げが、今回のサイクルでは最後になるとの見方に傾いているようだ。また、この利上げが雇用の拡大に与える影響を確かめるには、あと数週間様子を見る必要があるだろう。
筆者が4月初旬に指摘したように、過去70年間の実績を見ると、連邦準備銀行による利上げが停止した場合、全体の75%のケースで景気後退が起きている。利上げ停止から景気後退が起きるまでの平均期間は6カ月だ。
今回の事例も同じシナリオをなぞるなら、2023年末までには本格的な景気後退に入ることが見込まれる。このリスクに対応するには、金および金採掘企業に投資することが賢明かつ合理的な戦略だと筆者は考えている。
(forbes.com 原文)