その中で欧州宇宙機関(ESA)の火星探査車(ローバー)「ExoMars」が注目を集めた。2028年の打ち上げが予定されているExoMarsは、次の10年の早い時点で火星の未踏地探索を始める計画だ。
2018年、ExoMars着陸地点選定ワーキンググループは、星北半球の赤道から遠くない場所であるオクシア平野(Oxia Planum)の探索を推奨した。
火星の同地域が、地表の着陸船によって本格的に研究されたことはないとバリ・サクレー大学の惑星科学者ジョン・カーターは学会で語った。
地理的にExoMarsの候補地に最も近くに着陸したのは、NASAのマーズ・パスファインダー・ミッションだろう。25年ほど前に打ち上げられ、火星表面に85日間滞在した非常に小さな探査車技術試験機だった。
パスファインダーは、オクシア平野とは地質的に大きく異なる場所に着陸したとカーターはいう。
火山活動が、オクシア平野の初期の粘土やその他の水溶性堆積物を覆い、火星の射能と酸性の厳しい放環境から生命の痕跡を保護している可能性があるとESAはいう。
オクシア平野には水とともに堆積した薄い層があり、フィロ珪酸塩粘土を形成している可能性が高いとカーターはいう。それが「泥」と呼ばれているものだという。
「火星科学者は泥が大好きだ。もし生命や有機物質が何らかのかたちで泥に混じっていれば、痕跡はそこに固定され、数十億年も固定され続けられると考えられるからです」とカーターはいう。
これによって、化石化が促進されるかたちで堆積が進むことが可能になる。そのため40億年前に水が流れ、泥が豊富なそれらの場所に行きたいのだとカーターは話す。