50代以降に輝かしい役割へと踏み出す女性たちにスポットライトを当てる、米フォーブスの「50 OVER 50 : 2022」。2021年の第1回に引き続き、アメリカのTVキャスターで作家のミカ・ブレジンスキーの協力を得て、「ライフスタイル」「起業家」「インパクト」「お金」の4つのカテゴリーから50人、計200人を選出した。
選出にあたり、評価したのは「50歳を過ぎてからの業績」「規模での成功」「インパクト」「初めてリストに入った人」「ペイフォワードのマインドセット」の5つ基準だ。特筆すべきは、彼女たちの多くが、その年齢に“かかわらず”成功できたのではなく、むしろ年を重ねたことで成功をつかめた点だ。50歳を超えて、能力を高め、意思決定権や影響力をもつことができたという。『Forbes JAPAN』でも「50 Over 50」企画を進めたいと考えている。
1. DIANE HENDRICKS
「全米で最も成功した女性起業家」、ダイアン・ヘンドリックスは、波乱に満ちた人生を歩んできた。17歳で子供を産み、バニーガールのウェイトレスとして働いて生活費を稼ぎ、2度のがんを克服し、夫の悲劇的な死を乗り越えた。ヘンドリックスは純資産を過去5年で122億ドル以上に増やした。これは、米国の歴史上、どの女性起業家よりも多い金額だ。「この国が大好きなんです。アメリカに生まれて、本当に幸せです。"開かない扉”はなかった。女性だからといって、自分がやっていることができないなんて、考えたこともありませんでした」
彼女は、ウィスコンシン州オセオにある実家の酪農場で9人きょうだいの4番目として生まれた。1964年に17歳で妊娠し学校を休学。結婚し、約200マイル離れたウィスコンシン州ジェーンズビルに引っ越したが、3年後に離婚した。シングルマザーになった彼女は、地元のクラブでバニーガールとして働くことになった。彼女は「やるしかないでしょ」とその時を振り返る。
やがて、ウィスコンシン州南部のあちこちで不動産の商売を始めた。22歳のとき、当時、屋根工事業者をしていたケン・ヘンドリックスと出会い、1976年に結婚。3年間で200軒の古民家を購入し、修繕して大学生に貸し出した。
1982年、彼らは所有するものすべてを担保に、90万ドルの銀行融資を受け、建築資材店2軒を買収し、ABCサプライを共同で設立した。建築資材をメーカーから直接仕入れ、建設業者らに販売しようと考えたのだ。不親切なことで知られるこの業界で、前代未聞のレベルのカスタマーサービスを提供し、屋根材、サイディング、窓の卸売りで5年以内に50店舗を展開し、約1億4000万ドルの売り上げを達成した。
1998年には、売上高10億ドルを達成し、ABCの社長にブリヂストン幹部、デビッド・ラックを迎え入れた。