Z世代の恋愛価値観、想像以上に堅実すぎる中身

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1990年代後半から2010年までに生まれた、現在10代から20代前半の若者たち、いわゆるZ世代は、生まれながらにインターネットやスマートフォンと接していたデジタルネイティブで、自分の価値観を大切にし、環境と多様性の意識が高いと言われています。反面、失われた20年に生まれ育った彼らには不景気が日常であり、経済的な困窮のために行動が抑制的で内向的となり、恋愛や結婚を避ける傾向にあるとも心配されています。しかし、そんなZ世代の恋愛価値観は、彼らなりに将来を見据えた前向きなものであることがわかりました。

恋人や友人との出会いの場を提供する「相席屋」を展開するセクションエイトは、13歳から29歳の男女538人を対象に恋愛価値観に関する調査を行いました。それによると、デートの費用は9割以上が低予算(3000円から5000円)を支持しています。寂しい気もしますが、「低予算の方が何回も遊べる」、「予算内でどう使うか考えるのが楽しい」、「低予算で立ち飲みハシゴ旅とか楽しそうだし、公園でコーヒー飲んでるだけでも好きな人となら楽しい」といった意見があり、ほっこりさせられます。お金がなければないなりに、うまく楽しんでいます。

食事などの代金は、ほぼ8割が割り勘がいいと感じています。また、付き合う前からお互いの金銭的な状況を話し合うことに抵抗がないという人が6割強。付き合ってからは8割強が金銭的な話をすると答えています。古い世代は、お金の話をするのはみっともないと思われるでしょうが、「相手の収入もある程度知ってないと後々困ることもあると思う」、「将来を考える上で金銭感覚の一致は大事」と堅実です。きちんと付き合っていきたいという気持ちが伝わります。

一方で、気になった相手にメッセージを送ることには5割強の人たちが「抵抗がある」と答え、デートに誘うとなると6割以上の人が抵抗ありとなります。これを見ると、10年ほど前から問題視されている、不景気による社会的閉塞感に起因する「若者の恋愛離れ」の影響が表れているように見えます。たしかに、なんでも「当たって砕けろ!」で押し通すゴリラみたいな男性はあまり見なくなりました。これには、(相手を)「傷つけないかとか迷惑ではないかとかいろいろ考えて結局伝えたいことが伝えられない」といった意見が聞かれました。ナイーブといえばそうですが、思いやりがあるとも受け取れます。
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恋愛離れだけでなく、お酒離れ、車離れと「ナントカ離れ」がよくクローズアップされる世代なので、自分とは価値観がまったく違う連中だと思うのは無理もないですが、とかく若者をひとまとめにして異質だと揶揄したがるのは年寄りの悪癖です。この調査は恋愛に限ったもので母数も500ちょっとと少なく、これだけで断言はできませんが、こと恋愛に関してZ世代は堅実で計画的で責任感があるように思えます。環境と多様性の意識が高く、デジタルリテラシーも備わり、お金よりも自分の価値観を大切にして質素に人生を楽しむと言われるZ世代は、恋愛価値観を通したほんの一面ではありますが、今の一部の大人たちよりも「まとも」な感覚の持ち主だと感じます。どうでしょう?

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文 = 金井哲夫

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