社員に寄り添うには、自らの弱みをさらけ出す
続いて谷本氏からは、「経営者・社員ともにステレオタイプでよかった今までとは違い、人的資本経営の時代には十人十色の社員のウィルや生き方を理解し、向き合う必要があります。今後、経営者としてどのような素地が必要だと考えますか」という質問が投げかけられた。すると山川氏は、「CRAZY WEDDING時代には仕事柄、新郎新婦の人生を様々な角度から深く知る機会が多くありました。そこにはご両親やご友人がご存知ないお二方の姿があって。人としての良さや弱さに共感し、目の前のお二方を丸ごと受け止めてきました。そうした原体験こそが今、自分の『人間に寄り添う』経営姿勢の根底にはあります。
社員に対しても同じで、会社もビジネスの手法も関係なく、一人ひとりと向き合うことが重要です。個人を理解し、その人なりの仕事の達成感や感動を引き出すことで、社員の人生を充実させていけると思うんです」と自らの経験を振り返り、答えた。
堀尾は、そうした山川氏の考えに賛同。
「経営が難しくなっていくこれからの世の中、仕事の先にある感動・喜びを社員に味わってもらえなければ、簡単に社員は離れてしまうし、企業は生き残れません。感動体験、価値体験の共有こそが、今後の『人的資本経営』には不可欠です」(堀尾)
さらに谷本氏から「社員一人ひとりに寄り添う秘訣」を問われた山川氏は、「まずは完成した人格として何かを教えたり管理したりするのではなく、経営層が一人の人間として挑戦と葛藤をして、それをちゃんと開示すること」だと回答。それによって社員も安心して自分の思いや悩みをさらけ出せるため、経営層や人事担当者は社員が人生を充実させられるように、しっかりとサポートができるという。
ここまでの山川氏の話をまとめて、谷本氏は今回のテーマである「人的資本経営」につなげる形で、次のようにトークを締めくくった。
「世の中にAIやChat GPTなどの新しい技術が登場し、いつシンギュラリティが起きてもおかしくない時代。そうした中、山川さんの『人間ならではの感動・喜びこそが、会社と社員をつなげる力になる』という考え方こそが、今後の『人的資本経営』時代の要になるでしょう」(谷本氏)
山川氏との1時間に及ぶ今回のトークセッションは、下記アーカイブで全編視聴可能だ。
>> 詳しくは、第4回の音声録音アーカイブへ