2023.05.21

世界の絶景を発信する。「絶景プロデューサー」という生き方

絶景は下調べが9割。現地で見て、“本当にいいもの”だけを届ける

——詩歩さんが絶景を選ぶうえで、基準はあるのでしょうか?

基準はふたつあって、一つは絵として美しいこと。もう一つは、ストーリー性があること。わざわざ足を運びたくなる、誰かに語りたくなる理由があるかどうか。わざわざ足を運んでも見たいと思えることを基準にしています。

——それって結構限られると思うんですが、その絶景をどうやって見つけるんでしょう?現地に行く前に、参考にしているものなどもあるんでしょうか?

絶景は下調べが9割だと思っていて。雑誌もHPもSNSもテレビも、すでに公開されているものは可能な限り全部見たい。インスタでその場所のハッシュタグが1万件出てきたら、1万件全部見ますね。1回の旅行で丸2日は下調べに費やします。

そのうえで、まだ発掘されていない景色、見方、視点を見つけに行く。残り1割の現地での運が重なれば、まだ見たことのない絶景に出会える。というか出会えるまで粘ります。たとえば富士山と桜を撮りたいと思ったときに、雲がかかっていたら晴れるまで4時間でも5時間でも待ちますね。

——すごい!詩歩さんが仕事をするうえで、一番大事にしていることがあればお聞きしたいです。

一番大事にしているのは、自分が本当にいいと思った景色だけを紹介すること。Facebookページを立ち上げた頃から、画面越しにいるもう一人の自分がいいねを押すか、いいと思ってくれるかをずっとぶれずに意識しています。

なので、決まった場所があって必ずここを紹介してほしいという依頼は受けていないんです。現地で自分の目で見て体験して、自信を持ってもう一人の自分に勧められる景色だけを紹介したいので。

——それは、自治体からの依頼などクライアントワークでもぶれないですか?

はい。なので依頼をいただいてお断りするケースも多いんです。お金をいただく以上、私の力が最大限発揮できるものじゃないと申し訳ないと思うので、方向性が違って私以外の方にご依頼いただいたほうがいいものは、正直にお伝えしています。

受けた仕事は、いただいた依頼の期待を超える仕事をすることを心がけています。

——だからこそ満足度が高く、詩歩さんにお願いしたい!という仕事が集まり、途絶えないんですね。
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文=徳 瑠里香 撮影=詩歩

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