カルチャーメディア「i-D」発行元Vice Mediaが破産、債権者に身売り

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カルチャー誌『VICE』や『i-D』などの発行元であるVice Media Groupは5月15日、連邦破産法第11条の適用を正式に申請した。6年前に57億ドル(約7750億円)と評価された同社は、劇的な崩壊を経て、投資ファンドのフォートレス・インベストメントとソロスファンドを中心とする債権者グループに売却される。

ニューヨーク南部地区連邦裁判所に提出した申請書で、Vice Mediaは、5億〜10億ドルの負債を抱えていると述べた。また、同社の最大の債権者がフォートレス社で、その債権総額は約4億7500万ドルであることが明かされた。

ニューヨーク・タイムズによるとVice Mediaの買収を目指す債権者のコンソーシアムは、2億2500万ドルを提示した。この取引の一環として、債権者は売却手続き中も同社が運営を続けられるよう、2000万ドルを追加で貸し出すことに同意した。

この売却は、Vice Mediaがより良いオファーを受けない限り、今後2〜3カ月の間に完了する見通しという。

この破産手続きは、2017年に57億ドルと評価され、1年前にディズニーからの35億ドルの買収提案を断ったことが報じられたメディア企業の劇的な崩壊の幕開けとなる。同社は、ここ数年利益を出すのに苦労しており、2022年の収益は予測を1億ドルも下回っていた。

Vice Mediaは先月末にニュース番組のVice News Tonightの終了や、大規模な人員削減を発表した。デジタルメディア企業は広告収入の減少などの逆風に直面しており、4月にはBuzzFeedがニュース部門を完全に閉鎖すると発表した

Vice Mediaの共同CEOのBruce DixonとHozefa Lokhandwalaは、声明の中で「今回の売却は、会社を強化し、長期的に成長できるようにするためのものだ」と述べ「Viceを若者にとって信頼できるブランドにする本物のジャーナリズムとコンテンツ制作を守ることにもなる」と付け加えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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