滝沢友紀さんの夫は、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんだ。秀一さんは1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。安定収入を得るために、ゴミ収集会社にも就職したが、独自の視点でゴミ清掃員の日常を切り取ったTwitterに注目が集まった。2018年にはゴミ収集員としての体験を綴ったエッセイ『このゴミは収集できません』を出版しベストセラーになった。現在は「清掃芸人」としてテレビやラジオ、講演会などさまざまな舞台で活躍している。
友紀さんは、秀一さんのエッセイのコミック版『ゴミ清掃員の日常』と『ゴミ清掃員の日常ミライ編』で作画を担当した。
「エッセイマンガは、誰が描いているかが重要。だから最初は滝沢秀一さん本人に、下手でもいいから描いてと依頼したのですが、本当に下手で……(笑)。どうしたものかと思っていたら、妻はどうでしょうと提案されたんです」と出版元である講談社の塩田将也さんはいう。
依頼されたとき、友紀さんは48歳。子育て中で、歯科医院の受付もしていた。昔からイラストは得意だったが、本格的な創作活動をしたことはなく、飼っている猫の絵や家族向けのメッセージで似顔絵を描いたりするていどの素人だった。そんな状況だったが、夫婦合作は話題になるだろうという編集者の意図と、家計のためにも2人でやりたいという夫婦の意志もあり、友紀さんはまんがを描くことにした。
「普段は考えてから決めるタイプで怖がりなのですが、そのときは思わず『やってみようかな』と言っていました。人生で一度もまんがを描いたことがなかったので、大きなチャレンジでしたね」