パナソニック アドバンストテクノロジーと大成建設は、国土交通省の「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」に採択され、月面基地の無人建設のための技術を研究してきましたが、このほど「月面適応のためのSLAM自動運転技術の開発」が継続採択され、本格的な技術開発が進められることになりました。
月面で建設用車両やロボットを自動運転するには、自分の位置、目的地、障害物などを正しく把握しなければなりません。しかし、地球と違い測位衛星がない月では、衛星からの位置情報に頼らず、自分で周囲を測定して位置関係を知る必要があります。そこで活躍するのが、パナソニック アドバンストテクノロジーが開発し、すでに災害現場などの不整地で利用されているLiDAR SLAM技術です。
LiDARは、レーダーに似たリモートセンシング技術です。レーダーは電波を使いますが、LiDARはレーザー光線を使って周囲のものの形や距離を精細に測ることができるため、掃除ロボットや自動運転車にも搭載されています。SLAMとは、自己位置測定と環境地図の作成を同時に行う技術のことです。
ただし平坦な月面では、LiDARが目印にしやすい立体物が少ないため、あらかじめマーカーを配置して自己位置測定と環境地図作成を行う「ランドマークSLAM」が使われます。パナソニック アドバンストテクノロジーでは、アルテミス計画を通じて月面環境のノウハウを持つ文部科学省とも連携して、NASAのデータをもとにシミュレーションを行い、やがて実際の擬似環境での実証実験へ移行します。
同事業では10年後の月面拠点建設を計画していますが、パナソニック アドバンストテクノロジーと大成建設は、無人建設技術、月面で使用する建材の製造に係わる技術、月面での簡易施設の建設に係わる技術を、4年を目途に確立するとしています。またここで培われた技術は、地球上での技術革新にも波及させるというということです。
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